青い風に、この歌を。

□第二章 -白と桃色、歌姫の心変わり-
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「やっぱりアンタか…!」

「…?」


シエルのもとに走ってきたのは、真っ白なハリネズミ。
その後ろから、ピンク色のハリネズミが「待ってよ〜」と言いながら走ってくる。


「…キミ、もしかして…あの時、エリスを助けてくれた…?」

「…!覚えてて、くれたのか?」

「(コク …約束、したから。エリスを守るって。」

「…そっか。」

「ねぇシルバー、そのコと知り合い?」


シルバーと呼ばれたハリネズミは、ピンクのハリネズミの質問に少し戸惑う。

シルバー「あ、えーと…前に一回会ったことがあるんだ。」

「へぇ…。あ、始めまして!アタシエミーっていうの!それで、こっちの白いほうがシルバーよ!
 貴女の名前は?」

グイグイと押してくる、元気な少女。
正直シエルはこのタイプの人間は少し苦手だが、同時に強く憧れてもいた。


「…シエル。」

エミー「シエルかぁ…って、シエルってまさか、ソレアナ公国の歌姫様じゃない!
    わぁ〜!こんなところで会えるなんて!
    でも、歌姫は10年前に失踪したって聞いてたけど…。」

「何かあったの?」と首をかしげるエミーに、
シエルは、少し顔を伏せる。

「ごめん。あまり…その事には触れないでほしいんだ。」

エミー「あ…そうなの。ごめんね?」

「大丈夫」と言う代わりに、シエルは首を左右に振る。



「…眠…」

こくり、こくりとシエルの頭が力なく揺れだす。

エミー「眠いの?」

「…ん……。(フラッ」

シルバー「よっ…と。」


倒れてきたシエルを、見事サイコキネシスで受け止めたシルバー。
そのまま宙に浮かせ、ベンチに座らせる。

そして2匹はシエルを挟むようにして座った。

エミー「ふふっ、寝顔可愛い…♪」

エミーは微笑んで、シエルの頭を優しく撫でる。

すると、シエルは柔らかく微笑んだ。

シルバー「……!///」

エミー「あら、夢でも見てるのかしら?(微笑」


寝ているシエルが突然、シルバーを抱き寄せた。

シルバー「Σうわあぁぁっ!?///」

エミー「(コソ 静かにーっ!シエル起きちゃうでしょ?」

シルバー「あ、あぁゴメン…///;」


「…あったかい……ふわふぁ…
 ……きもちいぃ…(ムニャ」

寝言なのか、舌足らずに拙く言葉を発するシエルに、エミーはまた笑みをこぼす。

シルバーはそんな中、始めての感情と戦っていた。



シルバー(…シエル、さっきはちゃんと見てなかったけど
     結構、綺麗だな…///って!
     何考えてるんだ俺!///相手はメフィレスの言ってた保護対象だぞ!?
     余計な事考えちゃ駄目だ!///)
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