青い風に、この歌を。
□第一章 -久しぶりの外-
1ページ/3ページ
「…ん…」
目を開けて辺りを見回せば、薄暗くて狭い地下室。
そこまではいつもと同じだったが、ただひとつ違う光景が、今日はあった。
ソニック「…クゥ…クゥ…」
青いハリネズミが、部屋の壁に寄りかかって眠っている。
「……。」
しばらくソニックを眺めた後、近づいてソニックの肩を揺らす。
「ハリネズミさん。朝だよ…たぶんだけど。」←
ソニック「…んぅ?もう朝か…ってか、何だよその呼び方;」
「昨日も言ったはず。僕は君を信じていない。だから君の名前は呼ばない。」
感情のこもっていない目で、ソニックを見るシエル。
ソニック「そうか。じゃ、早く信じてもらえるようにしなくちゃな(ニカッ」
「…。」
ソニック「それより、早くここから出ようぜ?よくこんな窮屈なところにいられるな…」
「……。」
ソニック「さ、いこうぜ。」
そう言って手を差し伸べるソニックを無視して「早く出して。」と無愛想に言うシエル。
ソニック「Oh…連れないねェ(苦笑」
ソニックは差し伸べた手をシエルの腰と膝裏に回して持ち上げる。
「なっ…!お、降ろして!不安定だ!」
ソニック「No problem!しっかりつかまってろよ!」
刹那、ソニックは風のごとく走り出し、地下室を抜けて外へ出る。
しばらく走り、ソレアナの街の中心部へ出た後、ソニックは横抱きにしていたシエルを降ろす。
ソニック「さーて、着いたぜ。」
「…ここが、街…。」
ソニック「?どうしたんだ?」
「…太陽の光、暖かい…。風が、気持ちいい…。」
長年地下室に閉じ込められていたシエルにとって、外の空気は楽園のような心地よさだった。
そのためか、シエルの表情が一瞬和らぐ。
ソニック「……!///(トクン」
ソニックの頬が、ほんのり赤く染まる。
「…ハリネズミさん?」
ソニックのほうを向くシエルの顔は、元の無機質な表情に戻っている。
ソニック「あ…sorry.ちょっと考え事してた。」
「…ふぅん。」
シエルの無関心な返事の後、二人は3時間後にこの噴水の前で待ち合わせることにし、エッグマンの情報を集めに行った。