青い風に、この歌を。
□序章 -PROLOGUE-
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―貴女side―
…ドーン、パァァ…ン。
上の方から微かに聞こえる、軽やかな破裂音。
きっと、今宵は炎の祭典だからだろう。
花火の音や、豪勢な音楽が聞こえる。
僕も本当は、あの舞台で歌うはずだった。
僕の幼馴染でありこの国の王女、エリスと共に。
…だけど、僕はここから出られない。
10年前の事件が、僕が歌ったことによって起こったことになっているから。
勿論、僕が起こした訳じゃない。
でも、何故かそうなってしまった。
「…エリス、しっかりやってるかな。」
……当たり前か。
しっかり者のエリスの事だもん。
大事な式典でヘマする訳ないか…。
僕がこの地下室に閉じ込められてから、もう10年がたつ。
この10年間、外の空気も吸ってない。
青い空も見てない。
太陽の光も、広がる大地も。
…夢なんて見れる訳ないし、見る事も許されない。
なんて言ってるけど、僕だって夢くらいある。
「ジユウ」に、なる事だ。
「『ジユウ』って、何だっけ。」
その言葉の意味さえ、忘れちゃったけど。