龍神様の夢の跡

□7 GWの予定
1ページ/1ページ

窮鼠の件から翌日のこと。

いつも通り学校へ登校すると、いきなり清継くんが肩をがっちり掴んできた。


清「聞いたよ夕凪君!!君も昨日魑魅魍魎の主に会ったんだって!?羨ましいぞ!!」



肩を揺さぶられて若干………いやかなりグロッキーな状態で「い、いや…………会ったというか………」といってその魑魅魍魎の主と思わしき人物を視界で探す。



『………あ、あれ?奴良君は………?』


その目的の人物が見当たらないため聞いてみると、どうやら今日は熱のためお休み。ということらしかった。




_______



『………それで?この大人数で病人の家に押し掛けようと』←



放課後、ほぼ強制的に奴良君の家に連行された私。


清十字怪奇探偵団の重要発表があるらしいのだが………。



『………』


奴「………」




き、気まずい………。
お互いが色々知りすぎていて逆に気まずいよ。



『……り、リクオくん。ご、ごめんね?辛いときに家に押し掛けちゃったりして………迷惑だったよね』



しまったぁぁぁ!?昨日リクオくん?ってあの妖怪に確認してたからそのままリクオって呼んじゃったぁぁ!



奴「ううん…。そんなことないよ。ありがとう」



熱のため少しばかり頬を赤くしながら奴良君は笑ってくれた。


………やっぱり。あの妖怪は奴良君ではないと思う………。


こんなに優しい奴良君が妖怪な筈がない。
きっと昨日のは奴良君の家に居候している妖怪さん達なんだ。


そう自分に言い聞かせた。


その後、清継くんからGWに「捩眼山」に行くという、超ヘヴィーな重要発表を聞き、重たい足取りで家へと帰った。



フォンにその事を告げたらかなり怒られたが、フォンを連れていくことと危ないと思ったらすぐ引き返すことを約束して特別にいかせてもらうことにした。



なんだかんだ言ってフォンは優しいのだ。


そんな優しさに私は知らず知らず甘えてしまっているのかもしれない。



__________


はーい。やって来ました地獄のGW←

新幹線でトランプやって数分で酔ってつくまでずっとグロッキーで寝てたことは言えないけど、とにかく捩眼山に着きましたよー。←


山を見て一言。



『………お家帰りたい』←


家「大丈夫………?」


この通り、かなちゃんに心配されるレベルでは新幹線で頭をやられてしまっているらしい。

どうも昔から乗り物には弱い……。


特に飛行機とか。
あんな鉄の塊が浮くとかホントに考えられない。現在の科学は素晴らしいと思うよ←



清「妖怪先生からの宿題。自力で待ち合わせ場所の“梅若丸の祠”を探せ。
流石先生………
“運”と“感覚”をみがいている僕ならきっと……」


あぁ……なるほどフラグですね←


それは絶対山に入る前に建てちゃいけないフラグですね←



___数時間後____



巻「なんだよー!ずーーっと山じゃんか!!」


清「当たり前だ!!修行だぞ!」


鳥「足痛い〜っ!」


女子が愚痴り始めたころ、美亜は密かに思った。


それ見たことか。と。←


花「うん?なんやろ…アレ?」


花開院さんが何かに気が付き立ち止まる。
何やら祠のような物が建っているようだが………。



『……なんか書いてある………けどここからじゃ読めないね』



見てくるよ!と祠へ足を進める。


すると後ろから「梅若丸って書いてあるよ!」という奴良君の声が聞こえた。


バ、バカな!?
あの位置から見えるはずが…………!!



『………ホントに!?梅若丸って………』



奴良君の視力半端ないなっ!?さすが眼鏡男子といったところだろうか!?

コンタクト派の私が完敗だなんて………←


と無駄な対抗心の末、勝手にショックを受けていると清継くんがかなりテンション高めに走ってきた。


正直引く。←


「意外と早く見つけたな…流石清十字怪奇探偵団!!」



すると急に藪の中から一人の男性が出てきた。



島「な、なんだ?あの汚いの……」


『こらこら島くん。本当の事でも口に出しちゃいけません』←



清「あぁ!貴方は作家にして妖怪研究科の…化原先生!!」



化「うん」



清「お会いできて光栄です!!」


化「うんうん」



清継くんは心底感動しているが、その他は皆微妙な顔をしていた。

そりゃそうか。



『…これ……梅若丸ってなんですか?』


少しでも気分を変えようと素朴な疑問をぶつけてみた。



化「うむ…そいつは…この山の妖怪伝説の主人公だよ」


化原先生は少し合間を開けてからこう続けた。


化「梅若丸……。千年ほど前にこの山に迷い込んだ、やんごとなき家の少年の名………生き別れた母を探しに東へと旅をする途中、この山に住まう妖怪に襲われた」



清「ほう…妖怪に……」



化「この地にあった一本杉の前で命を落とす。だが母を救えぬ無念の心が、この山の霊障に当てられたか、哀しい存在へと姿を変えた


梅若丸は“鬼”となり、この山に迷い込む者どもを襲うようになった。」



『………。』




素朴な質問をしたはずが、予想以上に重い答えが返ってきてしまった←


というか。この山に迷い混んだ旅人を襲うって……現在進行形で迷い混んでるうちらかなり危ないんじゃ………。



化「その梅若丸の暴走を食い止めるために、この山にはいくつもの供養碑がある。そのうちの一つがこの“梅若丸の祠”だ」



『そ、そうなんですか。あ、ありがとうございました』



自分で聞いといてなんなのだが、怖かったのでここらで切り上げてもらう。


するとあろうことか化原先生は捩眼山を探索しようと言い出したのだ。
清継くんがそれを断る筈もなく………




森の奥に進んでいくと大きな何かが木に刺さっているのが見えた。


巻「ん?なんだこれ」


化「それは爪だよ」


『……先生面白い冗談ですね全然笑えない』←


一息で言い切った。

だってみて?あれが。私の体の何倍もあるあれが爪だとしたら本体どれだけでかいの。


化「ここは妖怪の住まう山だ。もげた爪ぐらいで驚いてちゃ困る。山に迷い込んだ……旅人を襲う妖怪。


名を“牛鬼”という」


冗談めかした口調でもなんでもなく。真剣に先生は言った。


『…牛鬼……?どこかで聞いたような………』


そういえば捩眼山という単語から引っ掛かっていたのだ。


確か………フォンがそんなようなことを……。










『捩眼山。』

『ここは少し、まずいかもしれない』

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ