龍神様の夢の跡
□2 高校生と中学生
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ジリリリリリッ!!
『んんっ………』
けたたましい目覚まし時計の音に目を覚ます。
布団に潜ったまま、手をうようよとさ迷わせたかと思うと目覚まし時計目掛けて手を勢いよく下ろした。
カチッ!
その勢いで目覚まし時計の音は止まり、部屋には再び静寂が訪れる。
バタンッ!
フォ「美亜!いつまで寝てるみゅ!!学校みゅいよ!学校!」
いきなり部屋のドアを突き破てきた子狐は美亜の寝ている頭上を数回飛んで回った後、美亜の腹を狙ってダイブした。
『ぐえっ!!』
クリーンヒット←
フォンの重みによって私は見事に朝起きることに成功したのである。
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『…………というか。もっとまともな起こし方は無かったの?』
ぶつぶつと不満を垂らしながら渡された制服へと着替える。
朝から腹にダイレクトアタック喰らってるんだ、そりゃ不機嫌にだってなる←
フォ「だって俺のアタックいれた方が確実に起きるかなって思ったから……」
『尚更質が悪い』
どうやら確信犯だったようだ。
『それで?今日から通うって学校、何て言うの?』
フォ「あぁ。浮世絵"中学校"だみゅ!」
………ぱーどぅん?←
『ちょっと待って。ごめん、今中学校って聞こえた私の耳は異常だよね』
フォ「大丈夫みゅ。中学校だみゅ。美亜の耳は正常だみゅ」
『私の耳が正常だったとしても、お前の頭が正常じゃないよ!?』←
バカじゃないの!?とフォンから学校の鞄を取り上げる。
中身を見ると『中学一年生 数学』やら『中学一年生の物理』やら中学一年生の教材が大量に出てきた。
『私高校生!OK!?こんないい年したおばさんが中学生の中に入ってみな!?それはもう犯罪だよ!?若さ偽造の罪で現行犯逮捕だよ!?』←
フォ「いや……多分、不法侵入及び年齢詐称の罪だと思うみゅ…………って違うみゅ!!別に犯罪でも何でもないみゅ!美亜は今、13歳の体に戻ってるみゅい!」
それを聞いてパタリと動きを止める。
そして身体中をパンパンと叩いて試してみる。
『………ほ、ホントだ!!胸が無い!』
フォ「それは元々だみi『何か…言った?』うぉぉぉ!!恐ろしい程の"畏"だみゅ!?これは凄い人材だみゅい!!』←
何を言ってるのかわからないが、とにかく失礼な事を言っているのには違いないのでフォンの尻尾をわざと掴んだ。
案の定、フォンはじたばたと暴れまわったけど。
まぁ胸の件は置いておいて………体が縮んでいるのは確かなようだ。前まで足のサイズが23.5だったのに今では22でないとパカパカと靴に隙間が出来てしまうレベルだ。
フォ「おっと!こんなことしてる場合じゃないみゅ!早くいくみゅいよっ!」
時計を見てフォンは慌てるように口に私の鞄をくわえた後、私を引きずるように外へと飛びだす。
『えっ!?ちょ!?まっ!』
まだ髪の毛縛ってない……!と小さく漏らしたもののフォンには全く届いていないようで、仕方なくそのまま学校へと向かったのであった。
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結局、本当に中学校に来てしまった……。
周りの環境すべてがキラキラとして見える。
『若いって素晴らしいな……』←
「夕凪、大丈夫か?」
隣を歩く担任(男性 20代前半 彼女なし)の先生に鋭くつっこまれた。
正直全然大丈夫ではない。
犯罪にならないかハラハラしている上に、おばさんがこんなキラキラとした子供の輪に入っていいのかとずっと自問自答している最中だ。
ちなみにフォンはin mybag。
今は亡き母からもらった最後のクレーンゲームの景品のぬいぐるみという設定だ←
___もちろん、本人はかなり不服そうだったが。
しばらく歩くと担任の先生があるドアの前で立ち止まった。
「ここがお前の教室だ。俺が先に入って合図するから入ってこい」
がらがらがらっと扉の中に入っていく先生の後ろ姿を敬礼して見送る。
なにがともあれ。ここがこれから生活していく学校なのだ。
『……よし!頑張るぞ!』
明るくテンションMAXで。
そんな風に自己紹介が出来たらいいな、と胸に抱きながら先生からの合図を待っていた。