龍神様の夢の跡
□3 旧校舎での攻防
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少し走ると奴良君の後ろ姿が視界に入った。
『奴良くん!!!』
奴「ゆ、夕凪さん!?なんでここに!?」
奴良君は心底驚いたような表情をする。
わざわざ妖怪がいるところに帰ってきたんだ。確かに驚かれても可笑しくない。
『奴良君だけ置いていけないよ!』
行こうっ!と奴良君の手を掴んだその時だった。
いきなり冷たい風が体を包み込み、目を細める。
冷たい風を抜けた先には白い着物を着た髪の長い女の子がさっきの妖怪を凍らせていた。
っ!?
『…よ、妖怪が二匹……』
「おらぁぁぁ!!」
ドンッ!
轟音をさせて妖怪をぶっ飛ばすのはやはり妖怪。
妖怪が妖怪を退治している………?
『…な、仲間割れ………?』
「あんなのと仲間ですって!?私達は…………!!」
私の言葉が気に触れたのか白い着物の女の子は詰め寄ってきて何かを言おうとした、しかし、体の大きな妖怪がそれを止める。
「………はぁ。わかってるわ。"雪山殺し"………」
『!?』
突如大量氷のつぶてを含んだ風が襲いかかり、私は訳もわからないまま眠りについた。
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「………い……み…………起きるみゅ!!」
『うわぁぁ!?』
頬に肉球のようなプニプニした感覚を覚えた私は勢いよく起き上がる。
目の前にはこちらを不安げに見る子狐が………
『…………なんだ、フォンか……あれ?あの妖怪は………』
フォ「やっぱり妖怪に襲われたのかみゅ。ここはお前の部屋だみゅ。俺が死ぬ気で運んできたみゅいよ?」
そうか………。私、何故か急に眠くなって寝ちゃったんだ………。
ありがとね。とフォンを抱きしめ頭を撫でてやる。
フォンは少し驚いていたが、大人しく撫でられていた。
フォ「しかし………なんでまた校舎の外で気絶してたんだみゅ?」
…………。
『………え?わ、私外になんか出てない………。旧校舎の中で倒れたんだよ?』
フォンの言葉に一気に背筋が凍る。
と、同時にあの白い着物の妖怪と大きな妖怪が頭をよぎった。
もしかして、あの子達が運んでくれた………?
フォ「………とにかく。無事でなによりみゅ。今度からは気を付けるみゅいよ?」
『………はーい』
なんだかとても不思議だったけど、これ以上考えても埒が明かないと思った私達は明日に備えて眠りについた。
『一体誰が私を運んでくれたんだろう』
『……あれ?なんか髪の毛が凍ってる…?』