龍神様の夢の跡

□3 旧校舎での攻防
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『………うわ……ホントになんか出そう………』


無事に清継君達と集合場所で落ち合えた私はそのまま旧校舎の中へと進んでいく。

私やかなちゃん、清継君以外にも島くん、奴良くん、及川さん、倉田くんが一緒に妖怪探しに行く仲間であり、先ほど全員と少しずつ会話したが基本的に皆いい人だと言うのがわかった。

倉田くんめっちゃ怖いけど←


清「とにかくこと細かに調査だ。ここに妖怪がいるなら………あの人に通じる何かがきっとあるはずだ!」

何を根拠に言ってるのかは定かではないが、清継くんは自信をもって進んでいく。

その後ろ、つまり私の隣には同じクラスの奴良くん、その奴良くんの背後にピッタリとくっつくのはかなちゃんだ。

一行はまず、美術館準備室へとたどり着いた。


清「じゃあ………とりあえずこの部屋をチェックしようか」


清継君の号令で皆が一斉に妖怪を探す中、
私もビクビクとしながら棚の後ろを覗いてみた。


「………」


『(いたぁぁぁぁ!?普通にいたぁ!!なんか体育座りしてるぅぅ!?)』


あまりの衝撃に黙ってその場に立ち尽くす。


『…あ……あぁ……』


そしてなんとか声に出そうと頑張っていると背後から奴良君が近寄ってくるのが視界に入った。


『…ぬ、奴良君………!』


既に恐怖で涙目になりながら奴良君に訴えた。


奴「ど、どうしたの!?」


『こ、ここ………ここ』


"こ"しか言えてないが奴良君には伝わったらしい。
ちょっとごめん。と私を退かしたあとあの棚を確認する。


奴「………」


そして放心←


奴「………な、なんにもいないよ?」


彼はあれ(妖怪)をシャットアウトした←


『……そ、そうだよね。見間違えだよね』


私も彼と同様、なにも見なかったことにしておこう………。


「あ、今私のこと………」


妖怪が何か話しかけてきたけど聞かなかったことに…………



ブチッ!!


『ぎゃぁぁぁぁ!?』←


あろうことか奴良君は棚を使って妖怪を潰したのだ。

あまりのショッキングな光景を目にしてしまった私は思いっきり大声で叫んでしまった。


清「夕凪くん!?どうしたんだい!?」


『い、今……んっ!』


今妖怪が……!と言おうとしたが、後ろから奴良君に口を押さえられて何も喋れなくなった。


しかも奴良君地味に力強いっ!恐ろしい眼鏡男子………←


やっと解放された頃にはみんな次の部屋を目指して歩き出していた。


『ど、どうしたの?奴良君』


奴「あ、あはは……ご、ごめん。さっき近くでハエが飛んでたから夕凪さんの口に入らないように塞いだだけなんだ」


『………いや無理がありすぎるよ!?それ!?』


あ、そうなんだ。ありがとね!とはならないよね!?
いくらバカな私でもそれが嘘ってことくらいすぐわかるわ!


奴「ご、ごめん。………でもさっき見たことは誰にも言わないでほしいんだ。」


『……わかった。きっと奴良君にもなにか事情があったんだよね』


妖怪を潰さなくてはならなかった事情が。


それから行く先々に沢山妖怪が出てきていたが、その度に奴良君が退治していくので、もはや何も怖くなくなっていた。


奴「はぁはぁ………」


『………大変だね』


こそっと奴良君に告げると、一瞬驚いたような顔を見せるがな、なんのこと?としらを切っていた。


家「なんもないねー」


清「ホントだな………拍子抜けするくらい」


そりゃ出てくる度に奴良くんが頑張ってますから。


清「ここでラストかな?お、食堂だって」


やっとラストか…………と思いながら清継くんの後に続いて食堂に入っていく。


島「いい雰囲気すね!」


島くんと清継くんが懐中電灯を持って奥に進んでいく。その時だった。



ペチャクチャ………


何かを食べる音が部屋の中に響き渡り、その音の元を見ると、妖怪達が何かを食べている用だった。


島「あ…………」


「ウガァォァァァア!!」



島くんが小さく声を発すると、こちらに気がついた妖怪達が一斉に飛びかかってきた。


「『で、出たぁぁぁ!妖怪だぁぁあ!』」


私はかなちゃんの手を引いて全力で廊下を駆け抜けた。


家「美亜ちゃん!ぬ、奴良君が!」


『えっ!?』



奴良君がまだ残っている。


『た、大変!助けにいかなきゃ!』


かなちゃんは先に外に行ってて!と言い残して来た道へと引き返した。






『急げ、急げ』

『_____手遅れになる前に』
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