龍神様の夢の跡

□8 牛と雪と龍
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沙織ちゃんと夏実ちゃんが帰ろうと言う騒ぐ中(もちろん私も速攻で帰りたい)、清継くんは今山を降りてもバスがない上に暗い中で山を降りる方が危険だと言われてしまった。


くそっ………珍しく清継くんの説得力のある言葉に頷くしかなくなっちゃったよ……。


そこで仕方なく。清継くんのいう別荘に泊まることになった。


清継くん曰く「セキュリティーはバッチリ」



妖怪相手にセキュリティが効くなんて微塵も思っていない。
何故なら、実際に妖怪(フォン)が別荘に入ってもなにも作動しないからだ←


この状況下で温泉なんて楽しんでる余裕は全く無いので、温泉はパスさせて貰った。
代わりに後で普通の浴場を借りさせていただく。



清「さて〜、女の子達が温泉を満喫している間に脇目も降らず妖怪探しだ!」


『……ほんっとにぶれないよね清継くん』


もはや妖怪=清継の方程式が成り立ちそうだ。


清「もちろんだとも!君も行くのかい!?」


『……私……』



そこまでいいかけてちらりと奴良君を見る。
奴良君も行くみたいだし、この際だからハッキリとさせたい。

奴良君は妖怪なんかじゃない。



『………うん。私も行く!』



______



そう決心した心はほんの数十分程で既に折れそうになっていた。



風で木がガサガサいうわ、今日は新月で足元が見えないわ………。



唯一の心の癒しはつららちゃん。


さっきから蜘蛛の巣に引っ掛かって罠だと叫んでみたり、リュックが原因で木の穴にはまってみたりととにかく見てるだけで癒される。(真顔)




この先、なにがあってもつららちゃんが一緒にいればなんとか心はたち直せそう。


と思っていた矢先の事だった。



清「 おや…別れ道だ……島くんどっちに行ったら…会えるかな……?妖怪……」



島「左だと…思います………」



清「そうか…ボクは…右…だなぁ………」



『じゃあ、じゃんけんして決めようか』



一番平和なやり方を提案した。その直後。



清「じゃあ……二手に別れるか…」


島「さすが清継くん……いいっすねぇ」



『いやいや!?全然っ!何も!100%良くないよ!?てか、今じゃんけんしよって言ったじゃん!』



しかしその声すら二人には届いていないようでふらふらと二手に別れてしまった。



『………ねぇ。もうあれだよね?これは私に対する宣戦布告って受け取っていいんだよね?上等だよ?』←


フフフフッ………と不気味に笑って見せる。



奴「えっ!?ど、どうするの!?」



『……殴ってでも止める』



奴「そ、それって息の根……」



『ごめん。主語が足りなかった。行く手をってことね。この歳で犯罪に手を染めるつもりはないよ。今のうちは』←



焦ったようにこちらをみる奴良君。
いやいや、君は私がそんなことするやつだと思っていたのか………。



奴「と、とにかく!僕は清継くんを追う!夕凪さんと及川さんは島くんを!」



『了解っ!』



もう大分先に進んでしまった島くんの通った道を見て不敵に笑って見せる。



『……絶対止めてやるんだから』



そして私の意見をガン無視したことを思い知らしてやる。←
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