龍神様の夢の跡
□6 鼠狩り
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鼠のアジトに向かう途中。
あの旧校舎で見かけた白い着物の妖怪と大きな体の妖怪が列に並んでいるのを見つけた。
もし………もしもこの先頭にいる妖怪が奴良君なら………全ての辻褄があう。
奴良くんが旧校舎で妖怪を退治していたのは…………皆にこの事を知られたくなかった………からなのかな?
ようやくたどり着いたアジトの前。
『……ここに二人が……』
「さて、野郎共。朝まで鼠狩りだ」
それを合図に妖怪達はどんどんとアジトの中に入っていく。
『………フォン。私たちも行こう』
フォ「あぁ」
中に入ると既に戦いが始まっていて、もはや地獄絵図に見える。
血で血を洗う戦いとなっていた。
そんな中、あの首のない妖怪に救助されている二人を見つけた。
『かなちゃん!ゆらちゃん!』
花「!?夕凪さん!?あんたどうしてここに!?」
『そこにいる妖怪に二人が捕まってるって聞いたからいてもたっても要られなくて………ごめんね。早く助けにこれなくて!』
フォンに二人を乗せるように言うと、フォンは少しだけ顔を歪めたあと二人が乗りやすいように伏せた。
『二人とも乗って!ここから出るよ!』
家「で、でもこれ……よ、妖怪じゃ………」
『大丈夫。この子は私の家族だから!』
戸惑う二人の腕を引いて無理矢理背中に乗せる。
その時、後ろからあの妖怪の声が聞こえた。
「明鏡止水・桜」
その波紋止むまで 燃え続ける。そう告げた彼の姿は思わず見とれてしまうほど美しかった。
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無事に二人を連れて外に出た私とフォン。
ゆらちゃんに「あんたも妖怪なんちゃうか!?」とお札を貼られまくったが滅せられなかったので妖怪疑惑は晴れた。
ちなみにフォンのことは私が全総力(主に食べ物)を注ぐことによって見逃して頂いた。
ゆらちゃん曰く「今回は悪行をしなかったからなだけで、少しでもそんな素振りを見せたときは迷わず滅する」とのこと。
一応ゆらちゃんとかなちゃんを家に送った後、奴良君の家に行こうか考えたが、今日は色々有りすぎてやめておこうということになった。
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家に帰ってきて布団にダイブする。
『………フォン』
既にもとの姿に戻ったフォンから視線を外して、こう続けた。
『今日はホントにごめんね。フォンは私のこと心配してくれただけなんだよね………。それなのに私…………』
それを口にしようとするとまた目から大粒の涙が零れそうになる。
フォ「………いいんだみゅ。俺も少しきつく言い過ぎたんだみゅ。考えてみれば、お前はここにきて少ししか経ってなくて不安だったんだろうし、そんなときにせっかく出来た友達が"妖怪"なんて言われたら傷つくことくらい、気がつくべきだったみゅ。…………ごめんね」
『!!』
最後のごめんね。という言葉。
昔どこかで聞いたような懐かしい雰囲気を持っていた。
それがいつ、誰から言われたのかまでは覚えていないけど…………とても暖かい言葉だ。
『………助けてくれてありがとう』
涙を袖で拭い、精一杯の笑顔を向ける。
そして枕元で丸くなっているフォンを抱きしめてから一緒に布団に潜った。
『さっ!寝るよ!明日も学校で早いんだから!』
「………朝、いつまでも起きないのは美亜だみゅいよ」
『あれ?そうだったっけ?(汗)』