TOMORROW.

□Squirm
1ページ/5ページ

いつまでもくよくよするのはガラじゃない。

出来ることからやればいい。

そうすればきっと、大丈夫だから・・・。





「そう言えば今日って全員部活?」

朝、教室について1限目の準備をしてる時ティーダがそんなことを言った。

「俺はあるぞ。」

「俺もー。」

「マジか。」

今日はぼっち下校らしい。

魔法塔でも寄ってくか。

ごめんと謝る3人にいいよいいよ、部活がんばってねと返す。

ティーダは前も言っていた通りブリッツ部。

スコールは剣道部でヴァンはバスケ部だ。

「イオは入んないのか?部活。」

「んー、そうだなぁ。まだここに慣れてないからなー。」

これが普通科であったならすぐに入部していたであろう。

そう、ここというのは魔法科のことだ。

みんなが今まで習ってきたことを俺は知らない。

少なくとも1年の差がある。

それを埋めるために必死なのだ。

魔術書を眺めながら遠い目で言うと確かにといったように頷くヴァン。

「ま、なんとかなるだろ。」

「ならないーー。」

はあ、とため息。

最近ため息ばっかりだな。

「幸せ逃げるぞー。」

「幸せすぎてため息ついてんの。」

そう言うと笑われた。

笑い事じゃないってマジで。

「イオは、前は何部だったんスか?」

「ん。軽音。」

そう言うと3人はああ、と頷いた。

なんだその反応。

「なんだよ?」

「いや、ちょっとチャラい感じがそんな感じするなって。」

「はぁ?俺チャラくねーだろ!ティーダのがチャラいって!!」

髪染めてるし!と指差す。

「ティーダのチャラさとは違う。」

「え、俺チャラいの?」

「そうそう、なんていうかーー」

数秒の間。

そして首を捻っていたヴァンが顔を上げる。



「・・・誘い受け?」



とりあえず殴っておいた。





という訳で、放課後。

「じゃあイオ、俺たち部活行くな!」

「うん。頑張ってね〜!」

「気をつけろよ。」

「ん?うん?わかった。」

何を気をつけるんだろ、と思ったけどあえて聞かなかった。

「知らない人についてっちゃダメだぞ?」

「うるさい!早く行け馬鹿ヴァン!!」

「ひどっ。」

そんな会話をして教室内で別れた。

1人で行動するのは久しぶりかもしれない。

なんだかんだであの3人の誰かしらがいつも一緒にいた気がする。

「じゃあね、イオくん!」
「またね〜。」

クラスの子も話しかけてくれる。

「お。ばいばーい。」

いい子ばっかりのクラスだからお話ししたりするのは楽しい。

でも、やっぱり・・・

「(一緒に居たいのはあの3人、かな。)」

そんなこと口が裂けても言えないけど。





結局、俺は魔法塔に寄ることにした。

行くか、と1人なんとなしに意気込んでみる。

もしかしたらクラウドやバッツがいるかもしれないと思い教室を出た。

魔法科校舎は3-E、2-E、1-Eという順で並んでいて3年側の廊下の奥には魔法科訓練場、1年側の廊下の奥には下駄箱がある。

魔法塔はこの校舎から歩いて10分程度。

寮と真逆に位置するため魔法塔から寮までは歩いて20分程度という事になる。

ま、ここ広いししょうがないよね。

そんなことを考えながら1-Eの前を横切った。

「イオ!!」

「?」

突然名前を呼ばれて振り返る。

「ジタン!!どうしたんだ?」

「いや、居たから呼んだだけ。」

なるほど。

可愛い後輩だな。

多分これがヴァンとかヴァンとかヴァンだったらムカつくんだろうな。

「イオ、帰るのか?」

「いや、魔法塔に行こうと思って。」

「なら、途中まで一緒だから一緒に行こうぜ!」

また迷わないようにさ!なんて言われると言葉に詰まる。

確かに迷ってたけどさー。

「・・・もう迷わないしー。」

「拗ねるなよ。」

「拗ねてないしっ!!!」

後輩と張り合うなよ、俺。

「って言うか、ジタンはどこ行くんだ?」

「俺?部活。」

「おう。みんな部活だなー。」

俺がそう言うとジタンは「だから居ないのか」と言った。

あの3人の話か。

「・・・ナイトも大変だな。」

「ん?」

「いーや、こっちの話。イオ、部活は?」

「帰宅部。」

「とか言って、本当は1年の魔術書読んでんだろ?」

「なぜ知ってるし。」

「バッツが言ってた。」

魔術書のわからないところをたまたま魔法塔に居たバッツに聞いたのが悪かったか。

「しょうがない!転校生だし、俺!!」

「胸張るなよ。」

そんな会話をしながら2人で歩き出した。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ