TOMORROW.

□魔術と武術
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魔術合戦から早1週間。

「はあ・・・。」

俺には大きな悩みがある。

それは・・・

ーーー

『地獄の火炎、イフリート!!!!』

ーーー

あの時使えたはずの魔術が使えなくなっていること。

《召喚獣イフリート》。

これで今学期のパージは逃れられた訳だが・・・

このまま魔術を習得できなければ来学期にパージされるだけ。

武学科に行くのだけは何としても避けねば・・・!!

そんな思いが日に日に強くなっていった。





「魔術と武術?」

「ああ。」

ある日の昼休み。

いつものように教室の左後ろの自分達の席でそれぞれのお弁当を広げていた時、スコールがその話を始めた。

ちなみにお昼は学食のお弁当か、もしくは持参だ。

学食のお弁当は美味しいし楽だ。

その日のお弁当は前日までに予約して置き、朝取りに行くといったスタイルだ。

しかも、メニューは毎日数種類あってより取り見取り。

「流石異説学園。」

「は?」

「いや、こっちの話。」

で。

なんだっけ?

魔術と武術だっけ?

「そう言えば魔術合戦の時も思ったけど、魔法と魔術って何が違うの?」

と聞くとスコールはやっぱりと言う顔をした。

俺の隣のヴァンとスコールの隣のティーダはもう食べ終えているようだ。

ヴァンは机に突っ伏して寝ている。

ティーダは寝ているヴァンの右手の人差し指の第二関節にボールペンで切り傷ペイントをしている。

地味に痛そう。

「魔法と言うのは魔術の一種だ。魔術には魔法、技、そして召喚の3つがある。」

「え、あ。そうなんだ。」

始まりました、スコールの魔術と武術講座。

E組の生徒でこんな基本的なことを知らない人いないらしい。

1年生の時に習うものみたいだ。

・・・わるかったな知らなくて!!

「魔法ってアレでしょ?前にヴァンが使ってたやつ。」

始業式の朝や俺が倒れた次の日の朝。

朝ばっかだな。

「ああ、この間ヴァンがお前にかけたのは、回復魔法《ケアル》だ。魔術合戦の時にティナが木を燃やした《メルトン》、お前を捕らえようとした《捕獲》も魔法だ。」

「捕獲って魔法の名前なの?!変なのー。あ、じゃああれは?ティーダがボール投げたやつ!!確か・・・《アクセルシュート》だっけ?」

「よく知ってるな。」

「クラウドが言ってた。」

ヴァンの手に夢中なティーダにこの間クラウドが褒めてたよと言うと数回瞬きした後、パッと笑顔になった。

うっ、爽やかイケメンこのやろう。

「で?あれも魔法?」

「あれは技ッスよ。」

俺、魔法は苦手だから。と言って苦笑するティーダ。

「何が違うの?」

「何か物理的な攻撃に魔力を加えて威力を格段に上げるのが技だ。」

「魔法は、ほらあれッス。火とか水とか・・・何もないとこから突然出す!!って感じ。」

わかるような、わからないような。

「要は、魔力によって直接何か出すのが魔法で、魔力が何かを介して間接的に威力を増すのが技。って事でいいか?」

「ああ。」

「要約するのが上手いッスねえ〜。」

未だ切り傷ペイントを続けるティーダ。

だんだんヴァンの手が血まみれに見えてきた。

「召喚ってのは?」

「・・・知らないで使ったのか?」

「え?・・・ああ、アレか。いや、よくわかんないんだけどさー。」

なんかヤバいと思ったら出てきたと言うと、スコールはため息を吐き、ティーダは苦笑した。

「召喚は詠唱により召喚獣を呼び出す魔術だ。1人でも召喚できなくはないが、通常は2、3人で行う。」

「って言ってもある程度魔力が高くないと召喚は発動しないッスから。このクラスでも召喚できる奴なんて殆どいないと思ったけど・・・。」

え、なに?

そんな難しい感じなの?

じゃあ実は俺って魔力高いんじゃね?!

「・・・1人で召喚する奴なんて、初めて見たさ。(しかも、あんな一瞬で・・・)」

「マジ?!俺って実はすごい??」

なんて言って笑うと2人とも笑ってくれた。

でも・・・

「ってのは冗談で。・・・俺、あれ以来発動しないんだよ。その、なに?召喚ってのが。」

「発動しない?」

不思議そうに尋ねるスコールに頷く。

「魔法塔に行った時、もう一度やってみようと思ったけど、どうしたら発動するのかとかわかんなくて・・・。ティナに呪文みたいの教わったけど、あんま効果なかったし。」

「・・・じゃあ、イオは発現したわけじゃないってこと?」

「いや、それはどうだろうな・・・。発現者でなければ魔術は使えない。一度だけと言っても召喚したということは、発現したということだろう?」

「でも、じゃあなんで魔術が使えないんだ?」

そんな議論をしている2人を横目に、俺はあの時の声を思い起こした。
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