世界の引鉄〜World Trigger〜

□君は光
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走れ。

風を切って。

唄え。

空高く。

今。

この手を伸ばすから



〜君は光〜



「結局、副作用は脚力強化だから瞬間移動も5回って制限されたものじゃないらしいよ。トリオン体の耐久度とあとは英里の鍛え方次第じゃもっと遠くに何回も行けるかも。」

そんなことを言われた。

でも、確かに副作用を使ってる時は何も考えてなかったけど、見えるところとか場所がわかるところにしか行った事ないや・・・。

使えたり使えなかったりしたのはそのせいか。

なんて、1人納得していた。





衝撃の事実が発覚した次の日。

私の部屋には、何故か必要以上にうるさい二人と必要以上に静かな幼馴染みがいた。

なんでいるのかって??

それは私が聞きたい。
って言うか、そういう時に限って家に私しかいないってありえる??

実はグルなんじゃないの?!!我が兄弟よ。

『・・・で、なんなの?あんたら。』

「おお!!よくぞ聞いてくれました!!!日々近界民と闘うことで忙しい我々ボーダー隊員には特別課題というものが学校から課されている!!」

『うん、知ってる。』

だって私も当事者だから。

「そして今は冬休み!!我々にはさらに宿題という魔の手が・・・」

『うん。それも知ってる。』

なんたって当事者だから。

「それらは膨大な量を・・・」

『はいはい、知ってる知ってる。』

当事者以下略。

一生懸命説明する槍バカもといバカ1号。

大方想像はつくけれど、ああ、面倒くさいなぁ。

『・・・秀次、なんとかしてやんなよ。』

「いやだ。」

うわぁ、ひどい!!!即答!!

とは思いもしたけど、あの秀次に即答させるなんて、どんだけ面倒なんだ。

嫌な予感ばかりがよぎる。

『・・・そんなにヤバいの?』

「ああ。そんなにヤバい。」

うーわ、どうしよ。

面倒くさ。

『なんでよ、出水は出来るでしょ?』

「理系だけな。」

「やめろ傷付く。」

まあ事実だし、仕方ないね。

どんまい、出水。

『で。私にどうしろと?』

「そりゃあもちろん・・・」

クルッとこちらを向くバカ1号と2号(文系)はものすごくいい笑顔で言い放った。

「「教えてください。」」

だよね。

『はぁ、めんどくさー。』

「そこをなんとかっ!!!」

やけに真剣に頼んでくる米屋が気色悪い。

普段は口を開けばくだらないことばっかで、ボーダーに入隊してからはやれ模擬戦だ、やれランク戦しよう、と手に負えない状態だったからか面倒だからかその両方かしらないが、秀次も何も言わなかったらしい。

ってか、絶対両方だよね。

なんでそんなになるまで課題をためやがったという思いを込めて睨んで見る。

「なんていうか、いつの間にかーって。」

「俺別に課題ためてねーし。」

あははーと頭を掻く米屋とは対照的に出水は不貞腐れたように言った。

『じゃあ何しに来たの?』

「冬休みの宿題。」

なるほど。

ちゃっかりしてやがるな、この野郎。

『・・・はぁ、まあ、いいけどね。』

「マジで?!!」

っつか、帰る気ないでしょ、あんたら。

『いーよ。暇だし。』

「おっしゃ!!わりーな、お前も宿題出てんのにな!」

やたら笑顔の米屋。

昨日寝れていないのか、秀次は眠そうにふらふらしている。

ベット使っていいよ、秀次。寝な。

「一緒に進めてきゃ一緒に終わんだろ。」

「確かに。」

出水と米屋は何やら話し合っている。

さっきまで散々教えるよう説得してたのに、教えてやると言ったらこんどはこっちの事情を心配してくる。

彼らなりの優しさなのか、はたまたただバカなだけなのか。

順序が逆だ。

『秀次ー。寝るならベットで寝てー。』

「ん。」

『・・・聞いてないでしょ。』

そのままこたつで横になる秀次。

風邪、ひかなきゃいいけど。

『で、あんたら何話してんの?』

「いやー、俺らに教えながらやれば英里の宿題も終わるなと思って。」

つまり、お前らが終わる頃には私の宿題も終わっているだろう、ということか。

ふ、甘いな!!

なんたって私はもう宿題を終わらせたから!!

そう高らかに宣言すると、二人は目を丸くした。

「マジで?!!!」

『マジマジ大マジ。』

「写させて!!」

『ダメに決まってんでしょバカ1号。』

写させろとせがんでくる米屋の頭を英語の教科書でひと叩き。

『まあ、何問かわかんないやつが残ってるけど、この前の勉強会で一通り終わらしたよ。』

「勉強会?他にもやってたのか?」

『うん。秀次と三回くらい。』

少しの間の後、バカ二人はそれぞれ叫びだした。

「なにーー?!!三輪と!二人で?!勉強会だと?!!なぜ俺を呼ばない!!!」

『え、任務だったから。』

「俺、秀次と任務時間一緒なのに!!俺のもやってくれればいいのに!!」

『だって米屋がいると進まなさそうじゃん。』

あと、自分でやれ。

さらにあーだこーだうるさい二人。

秀次が起きるからやめて。

『うるさいうるさい。宿題やらないんだったら追い出す。』

「やりますやりますやらせていただきます。」

『あんたはまず課題からな。』

「はぁ、めんどくせ。」

『早く出せ。自分でできる理系教科は家でやってね。』

「はいはい。」

そんなこんなでうるさい勉強会が始まった。
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