世界の引鉄〜World Trigger〜
□歪んだ世界の
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朝8:00。
これはいつも秀次が登校する時間と、私が登校する時間の中間。
その時間に来た「ボーダーの任務が入ったから今日は学校行けない」というメールで一日が始まった。
さぁ、今日もギリギリの疾走生活が始まる・・・。
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遅刻1分前で教室にたどり着いた私は急いでテストの準備を始める。
テストは毎回そこそこで、総合では取敢えず上位の成績を修めている。
「優等生は余裕で良いね〜。」というルカの発言を無視して準備を終える。
そして、何気なく見た隣の席が空席なのを見て「ああ、出水も任務か。」と一人納得をした。
そしてテストが終わった放課後。
あたりまえのようにルカが話しかけてきた。
「それにしても英里・・・。実はボーダーだったなんて・・・!どうして私に言ってくれなかったの?!」
・・・。
What's?
『は、え?ど、どういうこと?!!』
「ねぇ!なんで?!出水は知ってたの?!」
『ちょ、ちょっと待ってよ!!私、ボーダーじゃないし!!』
「嘘だ!!」
『なんでよ?!!』
「だって・・・」
そう言ってルカは携帯を見せてきた。
そこにあったのは1枚の写真と、いくつかの文・・・それから読者からのコメントだった。
そして、それを見て私は絶句した。
『・・・え?』
それもそのはず。
そこに載っていたのは、一昨日の事件のことだった。
街中に近界人が出た。街はパニックになった。そこをボーダーが制圧した。
そこまでは良い。
損害がどうとか、家がどうとか、避難所がどうとか。
それも悪いけど、どうでもいい。
問題なのは・・・・
『なんで私がいんの?!!』
ここに決まってる。
まさか、こんな決定的な瞬間を誰かに撮られてるなんて思いもしなかった。
こんな・・・黒トリガーでトリオン兵をザックリやっちゃってるところを。
って言うか、あの状況でカメラ出した奴、勇気あるなおい。
「違うの?」
『ち、違う!!違くないけど、違うの!!』
「・・・どっち?」
『えっと、ボーダーではない!!これは、その・・・なんて言うか、その場のノリ・・・みたいなもんで!!!』
「ふーん?」
『とにかく!!私はボーダーじゃない!!!』
朝からどこか視線が痛い気がしたんだけど、そのせいか。
気付かなかったのがおかしいくらい、クラスだけでなく学校中・・・もう、街中で噂になっているらしい。
『・・・最悪。』
「ま、元気出して!!」
『はぁ。』
「あ!じゃあ、この後どっかのカフェ行こうよ!!」
『・・・目立ちたくないんだけど?』
「気にしない気にしない!!」
『とか言って、テスト勉強してないだけでしょ?』
「うっ。」
言葉に詰まるルカ。
でも、このノリが私を元気づけようとしてくれてるんだと思えて、嬉しくなった。
『しょうがないなー。奢りね?』
「も、もちろん!!」
その後、楽しい放課後を過ごした。
破天荒な一日だった。