世界の引鉄〜World Trigger〜
□私が持った「副作用」
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『はーあ。疲れた〜。ねっむ。』
朝8:00。
これはいつも秀次が登校する時間と、私が登校する時間の中間。
昨日のことがあったからか、今日の朝いつものように支度をしていたら秀次が私の家まで来た。「一緒に行く。」と。
姉と妹には変な・・・ニヤついた目で見られたけれど、無視しておいた。
中間の時刻にしたのは彼なりの配慮らしい。
しかし、彼のおかげで昨日のやつに会うのではないかとビクビクしながら登校する時間は無かった。
これは感謝。
「おはよ!英里。」
『ルカ。おはよう。』
「今日は早いね〜。」
『まーね。』
「三輪くん?」
『・・・まーね。』
「昨日の、やっぱ告白?」
『・・・。・・・まーね。』
「大丈夫だった?泣かされたんでしょ?」
『まーね・・・って、ちょ!なんで知って?!?!』
危うく流しそうになった。
なんでルカに知られてんの?!
秀次が言う筈ないし、きっと米屋も言わない。
ってことは、誰かに見られてた?!
しかも、ルカが知ってるやつ?
『ちょっと、ルカ。その話だれから―――』
「おーっす、英里。おはよう。」
出た。
出た出た。
水が出たーーー!!
『・・・。おはよう、でみず。邪魔しないで。』
「でみず・・・!!」
「ひっでぇなー。英里は。」
目の前のルカは「でみず」にツボッたらしい。
そんなに面白いかな?
『もー・・・。大事な話の途中なの!!部外者でみずは黙ってて!!』
「でみずじゃねぇし、部外者じゃねぇ!」
『はいはい。出水ね。じゃ、どっか行って。部外者さん。』
「だから、部外者じゃないって。」
『ボーダーさん。』
「・・・そうだけどさ。」
すると、ひとしきり笑い終わったらしいルカが不思議そうに顔をあげた。
「あれ?英里が言ったんじゃないの?」
『何を?』
「さっき話してたじゃん。だから、大丈夫?って。」
『え。全然意味分かんない。』
「だから、聞いたんだって。」
『だから、何を?』
「泣いてたこと。」
『・・・・。』
今、普通に泣いてたとか言ったな。
・・・まぁいいけど。
『で、誰に?』
「だからーー!!」
このニブチン!!と怒りだすルカ。
分かる方がおかしいと思うんだけど。
私がおかしいのかな?
私がもう一度、「誰?」と促すと今度は盛大な溜息をつかれた。
そして、その問いに答えたのは目の前のルカ・・・・
じゃなくて、
隣の席の・・・・
「俺だけど?」
出水公平。