碧空の夢〜Final Fantasy〜

□6、夢と誇り
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真実と想像と嘘と現実。

一人一人の気持ちと、使われて変えられる星の気持ち。

いつか言った。

『分かるのか』『知っているのか』と。

分かってるのに。

分かってたのに。

出来ることは何もなかった。



〜夢と誇り〜



外を見る。

真っ暗。

『はぁ・・・あり得ない。』

空は嫌いだけどこの魔晄色の光も好きではない。

その機械的な光はミッドガル全体を包み込み、色んな色に輝いた。


ここは神羅ビルの49階。ソルジャーフロア。

その名の通り、ソルジャーがいっぱい。

なんでこんなところに居るかって?

仕方ない。任務なんだから。

そしてふと前を見ると見慣れた色があった。


「お。エリ!!」


出た。子犬。


『ザックス。昨日ぶり。』

「ははっ。」


昨日は非番だったのでフラフラと神羅ビルをうろついていたら、まずレノに声をかけられた。



エリ、飯食いに行こう。

お前は仕事だろ。

良いじゃんか、と。

よくない、と。

・・・真似するなよ。

どっか行けよ。

つれないな、と。

そりゃどうも。



なんて言いながらどんどん壁に追い詰められていく。

どうしようかな、と考えながらも後退と前進のやりとり。


こんなことをし続けていたら、たまたまそこを通ったザックスに救われてそのままお昼を食べに行った。

ザックスには色々心配されたけれどいつものことなので放っておく。


そういえばクラウドに「いつも一緒に居る」って言われたことがあったけど、しょうがないんだよね。仲良い人他に居ないし。

アンジールは仲が良いって言うか先輩みたいなもんだし、統括は・・・ねぇ。仲が良いってほどではないがたまにお茶をしたりはする。でも、統括は基本忙しいからあまりかかわりはない。タークスのみんなは仕事仲間だし。必然的に友達レベルはザックスが高くなる。あ、でも最近はクラウドとも一緒に居たりするなぁ。私非番多いしなぁ。って言うか・・・


『友達レベルってなんだ。』

「は?」

『あ、いや、なんでもない。それより・・・何してんの?』

「見れば、分かる、だろっ?」

『うん・・・。スクワット。』

「はあ、疲れた。」

『何回目?』

「んー・・・忘れた!」

『もう良いの?』

「エリが来たからな。」

『・・・意味分かんない。』

「ははっ!!」

周りのソルジャー達はよく分からない目でこっちを見ている。

なんでタークスが・・・ってとこかな?

「で、そういうエリは何しに来たんだ?」

『ん?任務。』

「だろーな。」

『それ以外に私がここに来ると思う?』

「俺に会いに来た!」

『・・・。ばーか。』

「うーわ・・・ひど。」

『はぁ、そろそろ行くからね。頑張ってね、暇人ソルジャー。』

「もう行くのかよ。」

『うん。次会うのは何日後かな?任務が入らないと良いねー。』

「バカにしてるだろ。」

『さあね。じゃ。』


ブリーティングルームに歩き出す。

今回の任務は統括からのご指名だから無下にはできない。なんたって、統括、だからね。


『色んな恩があるもんね・・・。いや、一つだけか。』


一つだけど、すごく重い。

大きな恩。

だから、精一杯力になりたい。

そう思った。







SIDE-ZACK-


「任務か・・・。いいなぁ。」

印象的な黒の制服を見送りながら、ため息の様にこぼした言葉は誰にも聞こえてはいなかっただろう。

「・・・。」

はぁ、はぁ、はぁ。

再開したスクワット。

「ザックス。」

かかった声。

「ずいぶんイラついてんのな。」

カンセルだ。

さっきのような嬉しさは無いのでスクワットをやめずに会話をする。

「あたりまえだろ。訓練、ばっかりで、現場は、ナシ。俺、干されたのかって話だ。」

呆れたような同僚に呆れ返す。

タークスのエリも任務。

他のソルジャーも任務。

「最近忙しいんだろ?みんな留守だもんな。」

「え?留守って―――お前知らないのか?」

知らない?

何を?

頭の隅で考えながらもさらりと受け流す。

そして

「ソルジャーの大量脱走事件。」

「え・・・?」

脱走・・・?

脱走ってなんだよ・・・。



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