A・A小説

□君のすべてが愛しくて※
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―ああ、そうか。そうすれば…―

「っ、は…っ、  ?」

紫苑がやっと、ネズミの異変に気が付いた。
ネズミが微笑んでいたからだ。

「ネズミ…?っ、どうした、んだ」

「ねぇ、紫苑」

めずらしく、ネズミの口から甘ったるい声が出た。
ネズミは、紫苑の顔に手を伸ばし、頬を撫でそのまま下に指を下ろし、
顎に手をかけた。
その力は、いつも以上に強く、紫苑を不安にさせた。

「あ…、痛いよ、ネズミ」

「紫苑。あんたは、おれのこと好きか?」

なにをそんなあたりまえのことを…と紫苑は思いながら、
平然と答えた。

「好きじゃなかったら、こんなことしてないよ」

「……………そうだな」

そう言ったネズミの顔は、いつもの美しい顔とは、違っていた。
いや、美しくはある。
だが、その美しさは冷たく背筋を凍らせるものだった。





クスクスクスクス……


ネズミが笑っている。
前髪で、目が見えない。ネズミの、綺麗な目が見えない。


ネズミは紫苑の中からゆっくり出て、いきなり立ち上がった。
キッチンにいくと、なにかを持ってまた紫苑の目の前に座った。

ネズミが持っていたもの。それは、

ナイフだった。




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