A・A小説

□ねぇ、ほんとの気持ち?
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「なんでって、あゆむ〜!!この間言ったやろ?
すぐそこのスーパーで、漫才してくれって頼まれたって」

「へ〜、誰が?ってか、伸ばすな」

「おれら、ロミジュリやん!
おれらの漫才見たいって人がたくさんいんねん」

「やだ」

ぼくは即答してやった。
漫才なんて、したくない。
ついこの間の夏祭りだって、失敗したじゃないか。
もう、やりたくない。

「なんで〜〜!!??漫才やってるときの歩、めっちゃええ!好きや!」

「お前は…、好きとか言うな」

あ、今絶対ぼく顔赤い。
そうくるとは思わなかったから、ぼくは恥ずかしくなってしまった。

「なんで?好きやから、好きって言ったんや」

「…、勘違い、するだろ」

「勘違い?」

秋本の頭上に?マークが浮かんでいた。
ったく、この馬鹿は。
なんで、分からないんだよ。

「そういう、ふうに…とるだろ」

「LOVEってことか?」

「!!!!!!」

馬鹿、馬鹿。馬鹿秋本。
なに、普通に言ってんだよ。
ぼくがどんな気持ちで言ってるのか、分かってんのかよっ。

「歩?前にも言ったよな?おれは、ホンマに歩のこと好きなんや。
歩となら、なんでもできる。漫才も、手をつなぐことも、キスも、
それ以上のことも」

「嘘だ」

信じられない。だって、ぼくはこんなに汚れている。
お姉ちゃんと父さんを、殺した。
死なせた原因そのものなんだ。
ぼくは、笑っちゃいけない。人を、笑わせるなんて大層なこと、ぼくにはできないんだよ、
秋本。
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