A・A小説

□ねぇ、ほんとの気持ち?
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「だめだ。ぼくには、できない」

「なんでや」

「笑わせることも、笑うことも、手をつなぐことも、
キスをすることも、…全部。おまえと同じことは、できない!」

ぼくは、下を向いてしまった。
秋本の顔を見れない。恥ずかしい。
こんな、惨めな姿誰にも見せたくなかったのに。

「歩、顔あげて」

「………」

「歩」

観念して、顔をあげた。
そしたら、大きな影が覆いかぶさった。
バランスを崩したぼくとその影は、ベットに倒れた。

「…秋本、はなせ」

「いや」

ぎゅ、っと抱きしめる力が強くなった。

「っ、痛い、秋本…はなせよ」

「歩、おれホンマに好きなんや。歩のこと。自分でもびっくりや。
ホンマに、ホンマに離したくない」

ごめん、秋本。ぼくは、よく分からない。
でも、不安なんだ。おまえの『好き』って気持ちは、ぼくなんかが受け取っていいのか。
ぼくは…………、

「歩、漫才やろな?一緒にいような?」

一緒にいたいよ、秋本。
笑いたいよ、秋本。
好きだよ、秋本。
でも、押し潰されそうだ。まだ、不安だから。
おまえの気持ちが、本当のものなのかわからない。
怖い、怖い。いつ、拒絶されてもおかしくないから。
罪深い、ぼくだから。

「…うん」



死にたいよ、秋本。













end
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