A・A小説
□ねぇ、ほんとの気持ち?
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秋本は馬鹿だ。
馬鹿でどうしようもない、阿呆だ。
毎日ぼくにかまってくる。
触ってくる。
なんでぼくなんだ、と考えたら不安になった。
おまえの気持ちが、分からない。
ぼくは、潰されそうだ。
ねぇ、ほんとの気持ち?
外では雨が降っていた。
サー、サーってかすかに音が聞こえる。
耳を澄まして聞いてみると、だんだんメロディになっている気がした。
そんな事を考えていい気分になっていたら、
「う〜〜…」と、変なうなり声が聞こえてきた。
「なにしてんだ、秋本」
「う〜、いいネタが浮かばへん」
ネタ?なんのことだ。
なんて言ったら、コイツは泣きながらしがみ
ついてくるだろうから、言わないでおこう。
だって、暑苦しいから。
「ネタね。一人で考えててください。ぼくにはそういうセンス、ないから」
「そんな事あらへんで?あゆむ〜は、ええセンスもってるやん」
「伸ばすな」
毎回毎回、同じツッコミを入れるのも疲れる。
「ってか、なんで今ネタなんて考えてんの?」
ぼくの質問に、秋本は目を大きくして答えた。