2周年記念小説

□些細なことが
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「はぁ…一応終わった、か」



堆く積み上げられた書類に一通り目を通し、判を押す。

本来この仕事をやるべき大将は、きっと今頃どこかの道場近くの道端にボロ雑巾のように捨てられているだろう。

…山崎に回収しろと言っておかないと。

俺はデスクワークで凝った体を伸ばしてから、机の上に放置していた携帯に手を伸ばした。



「(午後2時、か。銀時との約束までまだ時間があるが…早めに行ってみるか。でも一応連絡を…)」



今日は3時に、銀時と万事屋で待ち合わせをしていた。

本当なら午後全て非番だったのに、どこかの誰かさんが仕事をほったらかして出掛けてしまったので待ち合わせ時間をずらしてもらったのだ。

携帯を開き山崎にメールをしてから、銀時に電話をかけようとディスプレイに万事屋の番号を表示させた瞬間。



「あ」



ピリリリ、と持っていた携帯が震え、ディスプレイに銀時の名前が表示される。

一瞬驚いて携帯を落としそうになったが、慌てて携帯を持ち直し通話ボタンを押した。



「もしもし」

『十四郎ごめん、仕事中に』



銀時の声が耳に響く。

くすぐったくて、でも嬉しくて。



「いや、大丈夫だ。今仕事終わったから、俺も電話しようと思ってたとこ」

『ほんと?じゃあナイスタイミングだったのか。屯所まで迎えに行こうと思ってさ、一応電話してみたんだけど』



同じタイミングで電話をかけようと思ったなんて、嬉しすぎる。

その上迎えに来てくれると言う銀時に胸がきゅんとした。



「あぁ、じゃあ俺も今から屯所出るな」

『了解、途中落ち合おう』



お互いに今万事屋と屯所を出たら、ちょうど饅頭屋辺りで会えるだろう。

少し早めに歩いて、銀時と新八、神楽に饅頭でも買ってやるか。

俺はそう考えながら、着流しに着替えて自室を後にした。



〜〜〜〜〜



「「あ」」



饅頭屋に入ろうとした時。

ちょうど饅頭屋から出てきた人物と目があった。



「十四郎発見。お疲れ様」

「銀時…饅頭買ったのか?」

「うん、昨日の依頼料で」

「そうか」



それは俺が一番会いたかった、恋人。

銀時はにこりと微笑んで俺の頭をくしゃりと撫でた。

早歩きで此処まで来たが、銀時もきっと早歩きで此処まで来て饅頭を買ったのだろう。

…同じことを考えていたなんて、嬉しいな。



「夜にみんなで食おうぜ。仕方ねぇから、神楽には2個買ってやったんだ」

「…あぁ。でも神楽は2個じゃ足らねェだろ」

「まぁね」



クスクス笑う銀時の後を付いて行く。

銀時と居るだけで…いや、銀時のことを考えるだけで俺は幸せな気分に浸れるらしい。



「…銀時」

「ん?」



銀時の着流しの袖をきゅっと握ると、銀時がこちらを振り向いた。

…優しい笑顔を浮かべている。

好きだな、とか、幸せだな、とか。

俺をこんなに暖かい気持ちにさせてくれるのはこいつだけだ。



「手ェ繋ぎたいから、路地裏から行こう」

「…了解」



嬉しそうに笑う銀時に俺も笑い返して、俺たちは歩き始める。

手を繋いで寄り添って、銀時の温もりを感じて。

今日1日、もっともっと幸せにしてくれよな?





〜〜〜〜〜

銀さんが居れば、うちの十四郎は幸せいっぱい^^

名無しさんリクエストでしたので、お持ち帰り不可です。
リクエストありがとうございました!





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