2周年記念小説
□君の為なら
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「次は雑誌の取材だよ」
「…眠ィ」
「30分くらい寝てて良いよ。起こしてあげるから」
「…銀」
「はいはい、どうぞ」
銀時と俺は幼なじみだ。
生まれた頃からずっと一緒で、大学を卒業した今でも一緒。
大学三年の時、俺はたまたま一人で歩いている所をスカウトされた。
芸能人になんてなりたくなかったし、人から注目されるのも嫌だったから最初は断ったんだけど。
どうしても!と引き下がらない事務所と、芸能人って格好良いね、凄いね!と銀時に言われ、銀時がマネージャーをするという条件で事務所に入った。
本格的な活動が始まったのは大学を卒業してから。
こんな生活が始まって半年経つが、タレント活動をする俺よりも、俺のマネージャーをして、それ以外にも事務所の雑務をこなし、マネージャーとしての基礎を叩き込まれている銀時の方がよっぽど大変そうだ。
「…大変?」
俺は銀時の肩に頭を預け、ポツリと漏らす。
主語のない言葉に一瞬銀時は考えて、俺が聞きたいことを理解したのか、ふっと微笑んだ。
「大変だけど、十四郎の側に居れるならへっちゃら」
そう言ってポンポンと頭を撫でてくれる銀時に、俺も微笑む。
「そっか」
「さぁ、一眠りして次の仕事も頑張って。今日は雑誌の取材が終わったら仕事終わりだから、何か夕飯食べて帰ろ」
「そんな楽しみなこと言われたら寝れねェだろ」
「え、逆効果?」
クスクス笑う銀時の肩に、頭をぐりぐり擦り付ける。
「夕飯、焼肉が良いな…」
「了解」
「酒飲みたい…」
「えーっ、俺烏龍茶なのに?」
「生ビール…」
言葉を紡ぐにつれ、どんどんと意識が薄れてきた。
ふわふわとした気分ですうっと息を吸う。
その空気は何だか甘い。
銀時の匂い、だろうか。
俺は心地良い香りに包まれながら、幸せな気分で意識を手放した。
〜〜〜〜〜
きっと社長は銀さんにも目をつけていると思う(笑)
悠哉ちゃんのみお持ち帰り可です。
リクエストありがとうございました!