2周年記念小説
□歩み寄る
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はい、こんにちは。
坂田銀時、半年ぶりに十四郎に監禁されてます。
今回は100パーセント俺が悪い。
…いや、100パーセントではないかもしれないけど、ヤンデレと付き合ってるってトコで、うん、俺の自覚が足りなかったよね。
この二週間、北の方に雪下ろしや雪かきなんかで仕事に行ってて、十四郎をほったらかしてたの。
ちゃんと仕事内容とか期間とかは伝えてたんだよ?
勿論十四郎は良い顔しなかったけど、大分稼げる依頼だったし、説得に説得を重ねて渋々オッケーを貰った。
依頼中、毎日電話もメールもしてたけどね。
でまぁ、一昨日帰って来て、帰り道に新八の道場があって、もう疲れとか眠気とかでまず道場にお世話になっちまったのな。
十四郎んとこ行かないで。
朝起きたらあれだよ、電話とメールの嵐だよ。
十四郎も仕事が忙しいみたいで屯所から出られなかったらしく、探しには来れなかったみたいだけど。
『今すぐ屯所に来い』
って顔文字のないメールが本当に恐ろしかった…。
起きてから新八も神楽も置いて急いで道場出て、全速力で屯所に向かう俺。
そんな俺を屯所で迎えてくれたのは、笑顔の、だけど目が全然笑ってない十四郎でした。
「おはよう、銀時。仕事お疲れ様」
「お、は、よう…」
「どこに居たんだ?心配したんだぞ?」
「疲れと眠気に勝てなくて…新八の道場に…」
「ふぅん?」
「…すみません」
腕を組み、じっと俺を見詰める十四郎。
居たたまれず視線を泳がせると、十四郎はチッと舌打ちする。
「…一週間」
「え?」
「…一週間、で、許す」
先ほどとは一変、ムスッとした表情を浮かべて、十四郎はそう言った。
多分も何も、一週間十四郎の元に居たら許してくれる、ということだろう。
…一週間で、良いのか。
いや、普通なら、何で連絡しないだけで一週間も監禁されなきゃなんねぇんだってなるんだよね、うん、分かってる。
でもきっと半年前の十四郎なら、一週間監禁の上に一週間軟禁、プラス媚薬くらいしてたと思うんだ。
でも、そんなヤンデレ十四郎が一週間の監禁で許してくれると言った。
今まで三カ月に一回程度だった監禁も、今回は半年も我慢した。
…十四郎、何とか自分を変えようと頑張ってくれてるのかな。
そう思ったら凄く凄く嬉しくなって、俺はムスッとしている十四郎の頭を撫でた。
「一週間、十四郎の言う通りにする」
…で、今に至るわけだ。
今回の監禁場所も見慣れた真選組の拷問室。
が、今回は片手の手錠と片足の足枷のみ。
…凄い、十四郎、うんと我慢してるな。
「十四郎」
「ん」
「…偉いね」
休憩中でこの部屋に来ていた十四郎を抱き締める。
十四郎は少し身をよじって、俺の背中に腕を回した。
「…凄く、不安だった」
俺が連絡しなかったことだろう。
十四郎はポツリポツリと話し始める。
「怪我したんじゃないか、とか…もしかして誰か知らない奴の所に行ったんじゃないかとか…仕事で屯所から出れなかったから、探しにも行けないし…」
俺を抱き締める十四郎の腕に力が入る。
「一週間監禁、一週間軟禁、プラス媚薬でも足りないくらいだと思った…けど」
思っていた通りのことを言う十四郎に、気付かれない程度に苦笑した。
流石はヤンデレ。
流石、そんなヤンデレに愛されてる俺。
ただ、今回の十四郎は一味違うらしい。
ぎゅうと抱き付いていた十四郎が、ゆっくりと俺から離れた。
「けど…銀時が俺のこんな性格を我慢して、許してくれてるのも分かるから…俺も少しは我慢して、許してやんないとって…思って…」
俺の手首にはめられた手錠をカチャリと一撫でして、十四郎は苦笑する。
「まぁ、やっぱり我慢出来ない部分もあるけどな」
ごめん、と本当に申し訳なさそうに呟いた十四郎を、俺は勢い良く抱き締めた。
本来なら俺は怒って逃げ出して良い立場にいる。
…なのに、まったくそんな気が起きないのはどうしてだろう。
むしろ変わろうとして、でもやっぱり変われない部分があって、それを謝れるようになった十四郎が可愛くて愛おしくて仕方がない。
「ぎ、んとき?」
急に抱き締められた意味が分からないのだろう、十四郎は俺の腕の中で不思議そうな声で俺を呼んだ。
「十四郎」
「う…何だ…?」
「大好きだよ」
唇にキスをする。
これからも俺を独占して欲しい。
俺には十四郎に繋がれるこの鎖が、甘味と同じくらい好きなんだ。
「…俺はもっと好き…!」
キスを返してくる十四郎は、へにゃりと頬を緩めて嬉しそうに笑った。
〜〜〜〜〜
ヤンデレ十四郎読みたい…!
葵さまのみお持ち帰り可です^^
リクエストありがとうございました!