2周年記念小説

□死ぬまで一生
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「だーんなっ」

「お?総悟?」

「おはようごぜェます」



愛しい人を、目的地に向かうまでの道のりで見つけた。

人目もはばからず、後ろから抱き付く。

すると愛しい人は後ろを振り返って、俺の頭を撫でてくれた。



「おはよ。約束までもうちっとあったと思うけど」

「万事屋行く前に団子買ってこうかと思いやして」

「お、奇遇だな。俺も団子買いに行こうと思ってたんだ」



じゃあ一緒に行くか、と言う旦那が手を差し出してきたので、迷いなくその手を取る。

人目なんか気にならないほど、俺はこの人が好きだから。

少しだけ違う歩幅を俺に合わせて、ゆっくりと旦那が歩き出す。

俺は幸せな気分で、その背中を追った。



〜〜〜〜〜



「旦那、どれ食べますかィ?」

「総悟」

「はい?」



二人で色んな種類の団子を買って、万事屋でそれを食べようという時だった。

俺は名前を呼ばれて、首を傾げる。



「二人きりだよ」



にこり、と旦那は笑った。



「あ…と、…銀時、さん」



二人きりの時の約束。

名前を呼び合うこと。

抱きついたり手を繋ぐのは平気なのに、人前じゃ旦那を名前で呼べない俺。

二人きりの時だけで良いよ、と付き合う時に旦那が言ってくれた。



「よし。俺はあんこ」

「じゃあ俺はみたらしにしまさァ」



旦那…銀時さんは俺が名前を呼んだことに満足そうに微笑んで、あんこたっぷりの団子を頬張る。

あまりにも嬉しそうに食べるものだから、俺はみたらし団子を手に取りながらも銀時さんに見入ってしまった。



「やっぱ団子は美味いな。お茶と最高に合うぜ」

「んー、美味いですねィ」



もぐもぐと口を動かしながら熱いお茶を啜る銀時さんに同意してから、自分もみたらし団子を頬張る。

みたらし特有の甘じょっぱい風味が口の中に広がって、思わず頬が緩んだ。

どちらかと言えば辛いものが好きな俺だが、甘いものも嫌いじゃない。

もう一口、とみたらし団子を口に入れると、隣に座っていた銀時さんが、さっきよりも近い位置にいて驚いた。



「みたらし付いてる」

「え?」



驚いたと同時に、口の端を舐められる。



「っ、ぎん、ときさ…ん、ふ…」



そしてそのまま、銀時さんに深く深くキスされた。

まるで俺の口の中に広がるみたらし団子の味をじっくり味わうかのように下を絡められ、俺は団子を持っていない方の手で銀時さんの着物を掴む。

この人とキスをすると、何も考えられなくな
る。

近藤さんや土方さんと年が近いのに、あの二人とは違って兄ちゃんって感じはしない。

男らしくて、ドキドキする。

本来なら俺はドSで、人を調教して従わせるのが好きだったはずだ。

ちなみにホモでもなかったはずだ。



「口ん中甘いな、総悟」

「そ、そりゃあみたらし食いやしたからねィ」



なのに俺は、悪戯が成功したように笑う銀時さんに惹かれて、惹かれて。

心臓が出てしまうんじゃないかってくらい高鳴っている。

ドキドキさせられっぱなしは悔しいのでそう返すと、銀時さんは俺の手から団子を奪い、自分の持っていたあんこたっぷりな団子も皿の上に置いてしまった。



「もっかい」

「す、ストップ」

「何?」



ゆっくりとソファーに押し倒され、絶体絶命の体勢に追いやられる。

これからされるかもしれないことを想像したら、ますます胸が高鳴った。



「まだ明るい、でさァ」

「…駄目か?」



言い訳のように言った言葉に、銀時さんはしゅんとした顔をする。



「…ずりィや、断れないって分かってて言ってんだから」



俺だって、断る気なんてないけど。
少し拒んで、銀時さんの拗ねた顔が見たいなんて、可愛い考えでしょう?



「んなことないって」

「怪しすぎますぜィ」

「気のせいだよ総悟くん」

「ん…手の動きとか、怪しいってか犯罪ってか」



銀時さんはクスリと笑って、俺の胸に手を這わせる。

俺と銀時さんは十ほど年が離れていて、俺は未成年で、その年の差が、たまに俺を不安にさせて。



「同意の上だろ?」

「…ここで俺が大騒ぎしたら、旦那は捕まりやすねィ」

「え、止めろよ?考え直せ」

「旦那がこれから一生俺と一緒に居てくれんなら、考え直しても良いでさァ」



だから少し銀時さんを困らせて、確認したくなってしまう。



「はぁ?んなの当たり前だろうが」



間もなくすぐに肯定してくれる銀時さんに、きゅんと胸が鳴った。



「…そうですかィ」

「一生傍に置いとく覚悟で俺みたいなおっさんがお前みたいな若者に手ェ出したんだ。お前にも責任取って貰うからな」

「…へへ、仕方のねェお人だ」



いつも気持ちを確かめたいなんて、銀時さんが初めてだ。

だからたまにどうして良いか分からなくなる。



「ったく、幸せそうな顔しちゃって」



でもこうして困らせてしまっても、仕方ないなぁと笑ってくれるこの人だったら。

本当に、死ぬまで一生側に置いていてくれるのかもしれない。

そんな夢のような未来に思いを馳せながら、俺は目の前の愛しい人に唇を差し出した。





〜〜〜〜〜

年の差萌えです(^ω^)

雷さんのみお持ち帰り可です。
リクエストありがとうございました!





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