2周年記念小説
□sweet-shopB
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「はい、じゃあ始めるよ。十四郎は俺がしっかり教えてあげるからね」
きゃあっと悲鳴に近い声に包まれる。
此処は銀時が営むケーキ屋の厨房。
今日は銀時が行っているお菓子教室の日だ。
「はい十四郎、まずは粉をふるって」
「なぁ銀時、俺に掛かりっきりで大丈夫なのか?」
俺の隣にぴっとりと寄り添って材料の小麦粉を渡してきた銀時にそう訪ねると、銀時は物凄く良い笑顔を浮かべる。
「だって皆がそうしろって五月蝿いから」
そう言われて他の生徒たち(今日は主婦二人、学生二人だ)を見ると、俺と銀時を眺めながらうっとりしていた。
ここに来るまでは、生徒であるこの人たちが銀時を狙っていたらどうしようとか、銀時が付き合っているのが俺と知っているけれど、実際それを見て気持ち悪いと言われたらどうしようとか、そんなことばかり考えていたのに。
…そうもうっとりされると、逆に心配になるな…。
「だから良いんだよ。ほら、今日は俺たち以外多分ケーキ作り終わらないと思うから、せめて十四郎の分と俺の分、二つ完成させよ?」
「…なぁ、銀時」
俺はそう言う銀時の顔を見つめる。
ん?と首を傾げる銀時に、少し近付いて。
さらに耳に響くような声は少し無視させてもらおう。
「皆が言うから俺に掛かりっきりなのか…?」
銀時の意思なら凄く嬉しいのに。
俺がそう言うと、銀時はへにゃりと頬を緩めた。
「俺の意思に決まってるでしょ?十四郎が居るのに、俺が十四郎の傍に居たくないわけがないじゃない」
「…なら、良い」
「それに俺、十四郎が作ったケーキ凄い楽しみにしてたんだ。…あ、勿論俺と一緒に食べてくれるでしょ?」
幸せそうで楽しそうな銀時を見ていると、胸が熱くなる。
「当たり前だろ?つーか、お前以外には食わせねェよ」
こてん、と銀時の肩に頭を乗せる。
銀時は「可愛い」と言いながら俺に頬ずりした。
今日、銀時が教室に呼んでくれて良かったな…
しっかり美味いケーキを作って、甘いものと俺が大好きなこの恋人に食べさせてあげないと。
きゃあきゃあと言う悲鳴を遠くに聞きながら、俺は銀時の為にケーキ作りに没頭することにした。
〜〜〜〜〜
銀さんに言い寄る女子達に強気な十四郎が萌えです。
「悪いな、こいつは俺が好きなんだよ」みたいな(*´ω`*)
亞梨紗さまのみお持ち帰り可です。
リクエストありがとうございました^^