-sigh-


□-sigh-第1話 -七夕-
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―――なぁんて。








「こんなふうにかっこよーく言ったところで、なんにも始まんないしなァー―」







「梨奈ー帰ろう?」
「梨奈!!帰ろうぜ!!」






「あーちょっと待って!!杏奈!美香!」






私は、二宮 梨奈。
普通の高校に通う普通の高校生一年生。





そしてここは私の通っている高校の私のクラスである、1年3組の教室。






ちょうど、本日7月7日の一日の授業がすべて終わり、友達の杏奈と美香と一緒に帰るところ。





私は、差ほど勉強道具の入っていないバッグを乱暴にからうと、二人のもとへと走る。





すでに二人とも、ドアのところで待っている状態だ。




私は、


「ごめーん!!」



と言うと、歩き出した二人に歩調を合わせた。







「あーそういえばさあー」



と美香が話し出す。








「今日七夕じゃね?」



そういうと、杏奈は、あーそうだねーといいながら窓から空をみた。








ちなみに、今の並びじゅんは、窓を右に進行方向、窓の方から杏奈、私、美香というじゅんばんだ。






私も、

「そうだったね!!」





と、窓の向こうに見えるすこし赤みがかった空を見上げた。







そこで、ピーンとくる。





「明日!!!沖田君の誕生日だよ!!!」





かなり大きいであろう声で、まだ普通に高校生が行きかう廊下のなか、そうさけんだ。






当然周りから不審な目をむけられる。








でも、私はきにしない。








そしてここにも気にしない人約一名。





「ほんとじゃーん!!!ったく。 梨奈本っ当に沖田好きだよなぁー・・。」






「大好きだしー!!美香も誰か特定で好きな人つくれって!!」







私は、二人で人目も気にせず盛り上がりはなしこんでいた。






そんな私たちを横に、







「はぁ。本当好きだね。私にはよくわかんないけど。」





と杏奈笑いながらそういった。







杏奈が笑うのは珍しい。





それこそ友私たちにしかみせたことのないような笑顔だってある。





私は、この3人の距離感が心地よく思えた。





そんなことを考えていたら、杏奈が、







「それなら、今日の七夕、その、沖田君?に、会えますようにとでも祈っておけば?」





と言った。




私は、右手でピースをつくり、それを頬にあて、






「もち!!!あったりまえだね!!」







と返した。




そんなこんなで靴を履き替え校舎を出り、途中で別れ、お互い、自分の家へと帰っていった。
  
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