大切なさがしもの
□第1話 出会い
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だんだんはっきりしてきた・・・
ここは・・・どこ??
礼奈は静かに目を開けた。
「え??何これ??」
地面に横たわっていた礼奈はバサっと素早く起き立ち上がる。
周りをキョロキョロ見渡す。
え・・ここどこ・・??
なんか・・人が多い・・
とありえず人が少ないところへ行こう・・
そう心に決めるとすぐにそばの路地へと走りこむ。
「うわっはえーなあいつ。」
「キルアより早かったりして〜」
「ばーか!そんなわけあるかよ!って何だあいつら」
「お、さっきの腕相撲の奴らじゃねえか。追いかけてったけどよ。」
「知り合いだったのかな?」
「そんな風には見えなかったけどね〜。ま、ほっとこうぜ!」
(さっきの殺気がちょっと気になるけど・・)
そう思い返すとキルアはチラっと礼奈の走って行ったほうを再度見た。
走り去る時に何か聞こえた気がしたけど気にしてる場合じゃないよね・・
礼奈はとにかく走った。
「待つね」
「っ!?」
そう聞こえたと思うと瞬時に横に建物の壁に両肩を強く打ち付けられ思わず目を瞑る。
押さえつけられいる肩がじりじり痛む。
「どうしたのフェイタン急に追いかけだして」
女の声がする。
フェイタン・・・?日本じゃないの・・?
それにしても何・・この力・・・!
「な、何ですか・・・?」
辛うじてそう声を絞りだすと目を開いた。
!?
フェイタンの冷たい目線に思わずゾクっとする礼奈。
そのままフェイタンを見つめ返す。
礼奈のその目はひどく虚ろな目。
見る人が見れば、絶望の塊のような目をしていた。
フェイタンの表情がニィっと歪む。
(こいつ・・何ていう目してるね)
フェイタンは手の力を弱めることなく詰問を続けた。
「お前何者か」
「何者・・?」
何者って言われても・・・名前?何を言えば・・
「お前どこから来たね」
どこって・・
「・・やっぱりここは日本じゃないんですか・・?」
「日本??どこねそれは」
「・・・・・」
何がどうなってるの・・?
それにしても肩が痛い・・!
「あの、すいません、逃げないので、手離してもらっていいですか・・?」
「・・・・」
「離してあげなよ。その子に殺気はあっても、殺意はなさそうだよ?」
そう女が言うと、フェイタンはゆっくりと両肩から手を離した。
うぅ・・とそのまま壁にもたれかかる礼奈。
とりあえず正直に現状を言わないと・・。
「えっと、川に溺れたところまでは覚えてますが・・気づいたらさっきの所に倒れていました・・。」
「?川なんてこの近くにないね」
「・・そうなんですか・・?」
そしたらここはどこなんだろう・・・・。
とりあえず言葉は通じてるみたいだし・・
どうしよかな・・
「・・シズク、フランクリン、ワタシこいつ気にいたよ。アジトに連れて行くね。」
フェイタンはそう言うと礼奈の方に一歩出る。