grown up!
□grown up! プロローグ
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―――リン 8歳
「あー!!!それ私のクッキー!!!返してよー!!!」
「嫌だね!!だってリン姉僕の食べちゃったじゃん!!」
「えーそうだっけ?あははっ」
「あははっじゃないよ!!あははっ」
「##NAME3##も笑ってるよ!!」
「リン姉が笑ってるからだよ!!」
そう言い笑い合う二人の姉弟。
時はお日様が真上からやや西に傾いたころ、場所はある家の中庭。
中庭というだけあって、ここの家は、とても大きかった。
それほどお金持ち、ということだ。
中庭に設置してある、白いテーブルの周りを、二人の姉弟はクッキーを取り合い駆け回っていた。
テーブルより少し離れたところでは、30台前半だろうと思われる夫婦が、子供達を眺め笑い合っている。
絵に描いたような幸せそうな家族。
実際に、この家族はとても幸せだった。
「ほらー!もうお家に入りなさい!ケーキがもうすぐできあがるからー!」
そう女性が叫ぶと、二人の姉弟は、やったー!と返すと、女性と男性、自分達の親のもとへと駆け寄り一緒に家に入っていった。
中に入るとおいしそうなケーキの匂いが部屋を染めていた。
調度のいい家具類に、いくつものトロフィー。
困ったことなど何もないような家。
「出来上がったら呼ぶから上の自分の部屋でまってなさいね。」
母親のその声に、二人の子供は、はーい!、と元気よく叫ぶと、元気よく階段を駆け登っていった。