大切なさがしもの


□第6話
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「以上だ。宜しく頼む。」

広場へと集まっていた団員達の元に現れたクロロは、それだけ言うと用事があるとかですぐに出て行った。

クロロの言葉に各々了解の意を口にすると、すぐさま動き出す団員達。

「また待機か・・・。」

そして毎度の如く、礼奈は待機班の内の一人だった。

―そりゃぁ、まだコントロール出来ない状態でどうするんだって話だし、今回ほとんどの人が待機だし、いいんだけどね。

でもなんか、お荷物というか、役に立てなさすぎて申し訳無くなって来た・・・。


今回の指示は、マチとノブナガが二人で鎖野郎本人、または情報を探り、他は皆待機、という事だそう。
いつの間にかヒソカも帰って来ていた。

マチとノブナガが軽く準備を終え出掛けると、フィンクスの元に電話がかかってきた。

「あ?団長?何か言い忘れか?珍しいな。」

『まあそんなとこさ。フィンクス、パクノダ、お前達二人はマチとノブナガの後を付けてくれ。』

「お、二重尾行って事か。了解」

それだけ言うと聞こえたか?とパクに確認し、二人を追いすぐに出て行った。

「すごく慎重だね、団長。」

シズクが本を読みながら呟いた。

「ウヴォーの事があるからね、念には念をって事だろうな。」

シャルナークがどことなくツンとした表情でそう言い放ち、何処かへ行ってしまった。

――シャル、やっぱり悔しいんだろうな、ウヴォーの事。

団長はこんな時に何処に行ったんだろう・・・。

・・・いいや、違うな。
団員の皆だったら、団長の事だからきっとウヴォーの件で大事な用何だろうって思うはず。

―――何か、私も随分と思考が団員寄りになってきたな。

少し嬉しくなってこんな時なのに笑ってしまった。

「??何を笑っているんだ?」

礼奈が笑っているのをおかしく感じたのか、ボノレノフがそう問いかけた。
近くにいたフランクリンも同様に不思議そうな顔をしている。

「あの、団長はきっとウヴォーの事で何か大事な用事があって出掛けたんだろうなって思って。」

「あぁ、そうだろな。何か考えがあるのか、まぁ大方何か掴んだんだろう。」

礼奈に賛同を見せるボノレノフ。

「いや、それが笑ってる理由にはならんだろ。」

フランクリンが意味が分からないといった様子でボノレノフに続ける。

「ほら、きっと皆ならそう思うんだろうなって、私も皆と同じ様に思えるようになったことでしょ?それが、嬉しくてさ。」

そう言いながら礼奈は少し微笑んだ。

「あぁ、そういうことか。」

納得といった風に頷く二人。

「・・・そういえば、レイナの暫定メンバーの話、どうなってるんだろうね。」

後ろにいたコルトピがそう会話に入って来た。

そういえば、あれから話はしていないよね。

「ウヴォーの番号、11番になる可能性もあるかもね。」

そうシズクが人差し指を顎に当て呟いた。
その言葉にいつの間にか帰って来ていたシャルナークの眉が誰にも気づかれずにピクリと動いた。

――ウヴォーの番号に。

それは、何か、違和感があるな。

やっぱり・・・

「・・・ううん。それは違うと思う。少なくとも今は。」

「え?どうして?」

シズクが礼奈の方を向くと同時に、話には入って来ないがシャルナークも静かに耳を澄ませた。

「・・・何か、私はまだふさわしくないと思うんだ。私はまだここに来て数日だし、力だって本当にあるのか分からない。少なくともコントロールすら出来ていない状態だし。」

間違っていない。

迷惑しか掛けていない状態っていうのが今の現状。

「それに、ウヴォーがいなくなったから、そこに私がスライドして入るっていうのも、何か、しっくり来ないというか、納得出来ないんだ・・・。」

そう、何か、繰り上がり、というか。
そんなのは違うと思う。

「あー確かに、そうかも。レイナ見かけ弱そうだしね。」

シズクがあっけらかんとそう言った。

うぐ。
まぁ確かにそうだけどさ。

シズクには伝わっているのか分からなかった礼奈だが、シャルナークには確実に伝わっていた。

「・・・ははは!シズク、見かけだけで言ったら十分シズクもそう見えるよ!」

「えーそんなことないよ。それに笑い過ぎ。」

シズクの言葉に耐えかねたのか、シャルナークが吹き出しながらそう言ったの対し、シズクが負けじとそう返した。
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