大切なさがしもの
□第4話 開幕への序章
1ページ/6ページ
********
「ふぁ〜・・。今何時だろう?」
ベッドから起きがある礼奈。
「―――・・。」
ん・・・?
今が朝なのか昼なのか分からないまま目が覚めた礼奈は、部屋から割と近い広場からの話声を察知する。
礼奈が起きたのが分かったのか、マチが礼奈の部屋までやって来た。
「レイナ、おはよう。昨日はお疲れ様だったね。」
「おはようマチ。最近目が覚めたらマチがいる気がするな。」
そう礼奈が言うとマチが確かに、と笑いながら頷いた。
あ、そうだ。
「マチ、服を・・・一式・・・貸してもらってもいい?」
礼奈が申し訳無さそうにそう聞くと、マチは無言のまま立ち去り、すぐに大量の服を持って礼奈の部屋に戻ってきた。
すごい、たくさん。
何着分あるんだろう・・・・。
「こ、こんなに良いの?」
「私の服で良ければ、だけどね。遠慮なく着な。あ、私達は1時間後くらいに出るから。」
そう言うと、マチは部屋を出て行った。
去り際にありがとうと言うと礼奈はすぐシャワーを浴び、マチの服に袖を通す。
・・・和服・・・?
着物を崩した様なラフな格好になる礼奈。
何となく、しっくりくる気がする。
そういえば、ノブナガも和服だったような・・・
そう思いながら、鏡を見る礼奈。
・・・しっくりはくるが、似合っているのかはよく分からない。
まぁいいや、お見送りにいかないとね。
新しい服に身を包んだ礼奈は少し足取り軽く広場へと向かった。
「レイナ!似合ってるね!マチの服?」
広場に入って早々、シャルナークからそう話かけられた。
その声に何人かが反応し、こちらを向く。
真正面で似合ってと言われると、何かむずがゆいな・・・
「あ、ありがとう!そう、マチの服を貸してもらったんだ。」
そう言いながら広場を見渡すと、すでに数人出掛けた後で、続いて何人かが出で行く所みたいだった。
「皆、気を付けてね!」
「ハ!俺たちを誰だと思ってんだよ!心配いらねえよ!」
何となく出てきた言葉を言うと、ウヴォーギンが軽くつっぱね手を上げて出て行った。
そうだった。
どれだけすごいのか正確には分からないけれど。
それでも、絶対強いんだろうな。
大丈夫。
そう思いながら見ていると、シャルもシズクも一言いいながら出掛けて行った。
「似合うと思ったんだよね。大人しく待ってるんだよ!」
今度はマチがそう言いながら礼奈の背中を叩き出て行った。
「それ、似合てるよ。気を付けて待てるね。」
マチの背中を見送っているとフェイタンから後ろからそう言われ、振り返ると少し軽く笑い足早に出掛けて行った。
「え、あ、うん。ありがとう。」
聞こえてないだろうけど。
そう思いながらも、後姿にお礼を言った。
皆の力とか、よく分からないけれど、すごく強いんだろうな。
私も早く強くなって、皆の助けになれたらいいな。
・・・いきなりこの世界に連れてこられて。
・・・いきなりこのアジトに連れてこられて。
全てが急で、良く分からない事だらけで。
でも、元いた所に帰りたいとは、思わない。
そう少し考え込み、待機組以外全員が出て行ってから少し経った頃だった。
「レイナ、修行するぞ。」
礼奈に声をかけたのはクロロだった。
修行・・・あれ?フェイタンじゃないんだ。
そうだよね、フェイタンは出掛けているし、少しでも早く強くなった方がいいよね。
「うん、わかった。団長がしてくれるの?」
そういえば、団長・・私と話したい事があるって言ってた様な・・・。
「フェイの方がよかったか?」