大切なさがしもの
□第1話 出会い
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とある世界のとある国
「ん〜〜〜」
「.......!!」
(この女の人・・強い・・・!)
「...ハイ 残念 負けちゃった〜〜!よくやったネーチャン!」
今の今まで腕相撲をしていた黒髪眼鏡の女と、後ろで見ていた仲間の二人がその場から離れていく。
何か聞こえる・・・・何だろう・・・。
確か私は・・・学校からの帰り道に・・
川に落ちて・・溺れて・・・死・・・
う・・・意識が・・・
「ふぅ・・・・よっしゃ!次かかって来る奴はどいつだ!!!・・・って何だぁ!?!?」
遠くの方で男の声に反応し振り返る、先程の3人。
腕相撲をしていた3人組のすぐ横に黒い塊のようなものが浮いているのが見える
その時だった。
黒い塊から突然目の前に静かに青い渦が現れる―――!!
近くにいた人達が何だ何だと騒ぎ立てる。
「っ!?何だこの・・・殺気・・・?」
キルアと呼ばれた銀髪の少年はすぐ僅かに流れる、それでいて限りなく冷たい殺気に気づいた。
「いや・・他にも・・・これは・・・」
「どうしたキルア!何かこの渦に心当たりでもあるのかぁ?!」
考え込む仕草を見せるキルアに、レオリオと呼ばれた男がそう尋ねた。
「さすがにこんなわけわかんない奴に心当たりなんかないけど・・ゴンは何か分かるか??」
「んーなんか不思議な感じ・・・念みたいな・・でも違うような・・・」
キルアの問いにゴンと呼ばれた黒髪の少年はそう悩むように答えた。
「あれ何だろうね〜フランクリン何か知ってる〜?」
黒い髪に眼鏡を掛けた、先ほどの腕相撲に挑んでいた女が、横にいたフランクリンと呼ばれる大柄過ぎる男に問いかける。
「いや、俺は何も知らないな。フェイタンはどうだ?」
そう問いかけると、背の低い黒いマントに鼻付近までマスクの様なものをつけたフェイタンと呼ばれた男はニィっと笑うと口を開いた。
「何かはワタシも知らないが、あの尋常じゃない殺気、興味あるね」
近くにいた者達がその青い渦に注目する中、その時は唐突に訪れた。
青い渦の中から一人の女が出てきたのだ。
それも、静かに。
音を立てずに。
横たわっている状態のまま宙に浮くと、そのままドサッと地面に落ち、音と同時に青い渦も消えた。
「何だ何だあの女は」
「珍しい服来てんな・・・。」
周りがざわつく。
もちろんこの女とは礼奈のことであった。