キリリク
□桜
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「はぃはぃ・・・いい子。いい子。泣かない泣かない。」
土方は泣きべそをかいている近藤の頭をまるで子供をあやすかのごとくぽんぽんと撫でた。
「あー。トシの手、落ち着くなぁ・・・。お前の嫁になる女は幸せもんだなぁ・・・。お前はほんといいやつだなぁ・・・」
近藤は満面の笑みで土方に言った。
『ズキン!!』
『なんで・・・なんで、あんたがそんなこと言うんだよ・・・・なんで・・・なんで!!』
「そ・・・そぉか??」
土方は近藤の顔を直視できなかった。もし・・・もし、近藤の顔が自分の視野に入ってきたら・・・・
泣いちゃいそうだから・・・・・
巡察。あんまり、気持ちが乗らなくて、ぷらぷら歩くいていた土方は再びため息をついた。
「はぁ・・・。」
季節は早春。日差しは暖かくなりつつあっても一向に土方の胸の中には届かない暖かい光。
そこに、どっからともなく舞い降りてきた桜の花びらが土方の手の中に納まった。