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□Openly
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なぜ信じてもらえないのか、本当に分からない。マネージャーと部長。恋愛漫画の王道だと思うのに。
そもそも、跡部が特定の彼女を作らないと主張していたせいもあるのだけど、それは中学の頃の話だし。
「なん?自分、考え事?」
今度は忍足が近寄ってきた。
「これたのむわ」
シャツのボタン取れてん、と紙袋を差し出す。
中を覗くと1枚じゃなさそうだった。
「ボタンどっかいってんやん、直せる?」
「できるとは思うけど…」
「さすがやな!たのむわ」
「ちょっ…」
ちょっと待ってよ、と言いかけたのに聞かずにどこかへ行ってしまった。
本当にみんな勝手だ。いつものことで腹も立たないけど。
「誰のだよ?」
昼休み、部室で忍足のシャツにボタンを付けていると跡部がやってきた。
「忍足」
「これは?」
「それも忍足」
「あの馬鹿…」
舌打ちと共にため息が聞こえた。
肩にかけられた跡部の腕が心地よい。背後から邪魔にならないように抱きつかれた。
「断れよ」
耳元で呟いてから首筋に顔を埋めてくる。
「うん…」
返事を最後まで聞いてくれなかった、とまでは言わなくても跡部は分かったようだった。