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□プレゼント(赤也Ver)
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「なあ、今日の放課後、空いてるか?」
珍しくブン太が教室までやって来た。
「うん」
特に予定が無かったので深く考えずに頷く。
「じゃあ、決まりな。18時半に部室前」
何が決まりか分からなかったが、そういうブン太に手を振って分かったと応えた。
「おー、お前さんも来るんか。好都合ナリ」
背後で急に呟かれて、つう、と指で背中に一本線を引かれる感覚。
「ひっ!…やめてよ、ニオ」
「ハハ、コワいぜよ、その顔」
もう、こいつはいつもこれだ。からかわれた事に気が向いて、仁王が言った台詞を私はよく聞いていなかった。
18時半。部室前。
引退してから、何度目になるんだろう。
ブン太に誘われるまま、時間になるまで図書室で試験勉強をして。
久しぶりの風景に、嬉しそうにボールを追うブン太を、そして、一つ年下の、想い人を眺めた。