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□ハーゲンダッツ2
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部活を終えて、日が傾いた道を独り帰路につく。
今日も暑い。
そんな中、動き回る皆が着替える量は半端じゃなく、洗濯機はフル稼働。乾燥機が無くてもこの気温ではすぐ乾くのが不幸中の幸いだった。
ちょうど洗剤が切れそうだったことを思い出して、帰りに駅裏のドラッグストアに寄ることにしたのだけど。
「おい」
聞きなれた声に振り向くと、やはり、思ったとおりの人が立っていた。
「ああ、跡部。こんなトコで会うなんて珍しい。すっごい偶然」
駅裏の路地にさしかかったところだった。
「こんな時間に、一人で歩いてんじゃねぇよ」
「帰り道だから仕方ないじゃん。あ、そうだ。これからね、そこの薬局で洗剤買おうと思ってたんだ。持ってくれない?」
「あ?なんで俺様がてめぇの買い物につきあわなきゃならねぇんだ」
跡部の表情は逆光でよくわからなかったけど、声の調子から眉間に皺はぜったいだな、と思う。
まあ、そんなことは気にしないけど。
「いいじゃん、だって部活で使うものだよ?最近着替える量が多いじゃん、で、部室の洗剤切れそうだから」
そういうと、チッ、と舌打ちをして、向かいに見えるドラックストアの方へ歩いていった。