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□Openly
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なあなあ、と、肩を叩かれて振り向くと宍戸が満面の笑みで「俺にも春がきた」と言った。
「うそっ、成就したのっ?」
驚いて思わず大きな声が出る。
宍戸は慌てて口の前に指を立てて内緒のポーズをとった。
実は以前から宍戸が後輩マネージャーのさつきちゃんに片思いしていることを聞いていて、事あるごとに協力させられていたのだけど。
「俺のこと、好きだっつって…」
へら…っと表情が崩れるのは致し方ないだろう。
「俺、絶対跡部だろ、って思ってたけどよ…」
「だから、跡部はアタシと付き合ってるって前々から…」
いいかげん、主張し続けるのもワザとらしいかと最近はあまり話題にしなかったけど。
疑いの目を向ける宍戸に両眉を上げて分かった?とサインを送った。
「いや、だからお前の妄想と俺のは違うから」
よほど、アタシと跡部の組み合わせが想像しづらいのか、呆れ顔で首を振る宍戸。
「妄想じゃないってば。跡部に聞いてみてよ」
「んな必要ねぇよ。お前を好きとかじゃねぇし」
宍戸は、俺これから会いに行ってくるわ。とヒラヒラ手を振りながら教室を出て行った。