ろんぐ
□第四章
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「はじめまして、村谷拓人(むらたに たくと)です。」
にっこりと眼鏡の奥を弾ませた彼に挨拶をされる。
「今日から君の担任です。どうぞよろしく。」
「よろしくお願いします。」
朝早く、7時30分に俺と早瀬は学校内の職員室へと向かった。
何故こんなにも早い時間に行く必要があるのかわからないが、転校すればいろいろあるのだろう。
学校、という大きな建物は寮と同じく真っ白だった。
見事に、白い。
昼には日光が反射して眩しいだろうな、と思った。
構造としては普通の、俺が最近まで通っていた学校とさほど変わらない。
「真樹、こっち。」
早瀬が手招きする方向へと歩く。どうやら職員室の外付けの扉らしい。
中は玄関になっていた。
「靴脱いで、そのスリッパ借りよう。」
「うん。」
柄にもなく、少しだけ緊張する。
まだ朝の冷たい空気の廊下は、何の音もせずに静かだ。
ああ、本当に違う学校に来たんだなあ。
早瀬が案内するままに着いていった先のドアを見つめてそう思った。
コンコン。
早瀬が軽快なノックをすると、横開きのドアが響いた。
「失礼します。」
ガラガラ、という音が静かな廊下に響く。
「失礼します。」
早瀬に続いて、職員室に足を踏み入れた。