ろんぐ
□第三章
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部屋に入り、促されたソファーに並んで座る。
あーあ、なんか疲れた。
早「ねぇ真樹、なんかもう疲れたよ俺ー。」
真「奇遇だな早瀬…俺もだ。」
流石に早瀬は俺の事がわかってる。
早「そろそろやめる?」
真「ああ、やめようか。」
「「猫被るなんてキャラじゃない。」」
声が揃った瞬間に、早瀬がへらりと微笑んだ。
真「お前本当俺の事好きだな、早瀬。」
早「真樹演技うますぎて、俺本気でイラッときたよー(笑)真樹なのにー」
真「そりゃ光栄だな。」
ほんと、馬鹿な世間知らずの箱入り息子キャラも楽じゃない。
だって、俺はあの子供らしい可愛がられるキャラであると、親族を騙しているのだから。
親父、大樹叔父さん、一葉、爺さん、さっき出会った伊勢崎さん、そしてその他の関係者全て。
…これから出会うであろう伊勢崎の息子、未来の秘書になるであろう男にも。
人の印象を決めるのは、容姿、言動、態度。
俺は親族を騙している。
だって彼らはそれを望むから。
俺は彼らの期待に応える。
まだ、子供でいなきゃいけないから。
早「真樹、鴻に興味あるのー?」
真「ん、ああ。」
早「ええー…。誰か多分知ってるだろうから聞いてみるねー…。」
真「さんきゅ、てなんでそんな気が乗ってないんだよ。」
早「だってー。…あーそれで、ご計画はどのような?」
無理矢理話題変えたなこいつ。
始めから話す予定だったからいいけど、早瀬にとっては何もないっちゃあ何もないんだよなあ。
ただこの手の内で、皆踊ってもらうだけ。