ろんぐ

□序章
1ページ/2ページ


今は夜。

闇の中ですべてが動く時。
ただひたすら、大胆に。



「It's a showtime!」



暗い路地裏に響くその声は、人々の耳を麻痺させた。


ガタイの良い男達が地面に這う中、立っていたのは小柄な少年。
月の光に輝くのは銀の髪。闇の中でも光るブルーの瞳。そして、とびきり綺麗な少年だった。


「ねぇお前らさーぁ、今度俺の仲間に手ぇ出したら、こんなんで、済ませないよ。」


かろうじて意識のとんでいない男を見付け、容赦無く掴み上げた髪の毛を無造作に動かし、その耳元で囁く。

その声は、謡うように美しい響きを保ちながら、どこかに冷たさを含んでいて。
男は何も言えなくなり、ただガタガタと震えるだけ。


満足した様にひんやりと薄く笑う少年は夜に融けるように去っていく。


「あれが…雪刃(セツハ)…」


男は悔しそうに苦しそうにゆっくりと呟いて、意識を手放した。




雪刃。



それは、伝説とまで言われたチーム、「黒虎(ブラックタイガー)」のたった一人の総長の名である。



強さは歴代No.1といわれるチームの総長に名を連ねてきた者達の中でもトップクラスに入ると言い、その実力は確か。


そして、独特なオーラは見る者を惹き付けて決して離さないと言う。



「黒虎」は、雪刃と仲が良い者、雪刃に憧れて入った者、雪刃に惚れて入った者、雪刃に助けられ、それがきっかけで入った者、勢いで入った…など、歳差関係無しに、雪刃がらみで入った者がチームの大半の人数を占める。




ただ喧嘩は強く、何よりも総長、雪刃に絶対的な信頼を置いているので、結束・実力は自他ともに確実だと、誇る。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ