Text

□PLACE TO DIE
3ページ/6ページ


そいつの名は高杉晋助。

同じ学び舎からの出で、幼少の頃から共にすごし、攘夷戦争も共に戦った。

もっと深く述べるならば・・・元恋人だ。

半ば強制的な恋愛。

高杉は俺をただの道具としてしか扱わない。

言わば体の関係というやつだ。

だが、そこに愛などない。

それがいやで俺は逃げてきた。

何も告げずに・・・・。

「探したぜ。銀時よぅ」

「・・・・・っ!」

反射的に銀時は後ずさりしてしまった。

そんな事にはかまいもせず、高杉は近づいてきて言った。

「こんな夜中に、どこ行こうとしてんだ?」

「別に。ただの散歩だよ」

悟られてはいけない。土方の存在を。

今、土方との関係がバレたら、ただではすまないのは土方だ。

「こんな路地裏にか?くくっ」

「どこを歩こうが俺の勝ちだ!!」

「だが、この先にあるのは幕府の犬小屋だけだ」

「・・・・・!!」

俺が反論できずに下を向くと、

バチーンッ!

頬に激痛が走った。

殴られたとわかるのに時間がかかった。

「・・・誰に会いに行くつもりだ」

「・・・・・・」

俺が何も言わず黙っていると

バチッ!

また平手がとんできた。

「・・・・っ」

「近藤か。沖田か。・・・まさか土方か?」

「・・・・・・」

ここで反応しては後の祭りだ。

「ならしょうがねぇ。屯所燃やしちまうか」

「・・・・なっ!」

俺が思わず上を向いた時、

「・・・っつ!?」

ふってきたのは高杉の平手ではなく唇だった。


next→
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ