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□二人だけの夜
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10月10日
今日は俺、坂田銀時の1年に一度の大事な日だ。
そう、誕生日なのである。
その為か、朝から万事屋は大宴会。
新八に神楽、お登勢にキャサリン。
お妙に九兵衛まで勢ぞろいである。
メシをたかりに来ただけのマダオこと長谷川さん。
プレゼントは私だのぬかしやがる猿飛あやめ。
そんな面々でメシ食って騒いで、そこそこ楽しんでいた。
みんなが俺の為に集まってくれて嬉しい・・・嬉しいけど・・・。
外の空気を吸いたくなって万事屋を抜け出した銀時。
万事屋かた聞こえてくる陽気な声とは裏腹に、銀時の心は沈んでいた。
時計を見ると、11時を少し過ぎたところ。
今日もあと小1時間で終わってしまう。
「おーい・・・。もう終わっちゃったうぞー・・・」
誰に言うでもなくこぼれた言葉。
届いてほしい言葉ほど空気になって消えていく。
(なんで来てくれないんだよぉ)
「・・・土方」
ボソッとこぼれた言葉。
独り言で片付けるつもりだったのに・・・
「何だよ」
返事が返ってきたことに驚き、あわてて顔を上げる。
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