□失くしたもの 得られたもの
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大雨の降る真夜中。
カイル一行はある小屋で寝泊まりしていた。
その小屋からうっすらと見えた影。
ジューダスだ。
ジューダスは大雨にも関わらず、外に出て、どさっと壁にもたれ座る。
「シャル………」
そう呟く。
その名前を思い浮かべるたび、もうシャルティエはいないという現実の残酷さに襲われる。
もう二度と、共に過ごしたあの日には戻れないのだと。
「シャル………っ」
もっと一緒にいたかった。
まだ話したい事も沢山あった。
なのに
運命というもので全てを壊されてしまった。
シャルティエを思い出すたび、胸にとてつもない痛みが走る。
雨が、いつもより冷たかった。
しかし、今の自分には調度いい。ジューダスはそう思った。
もう捨てたはずの、暖かい涙を隠してくれるから。
すると、頭上から聞き慣れた声がした。
「どこ行ったのかと思ったら…。こんな、所にいちゃ、風邪引くぞ」
と。
見上げると、そこにはロニが立っていた。