□Please call my name
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「ゼロス…」
そう俺を呼んだのはクラトス。
「無理をするな。」
「ハッ。今から死にに行く人間に言うセリフじゃねぇな」
「そう…だったな。すまん」
…何て顔してんだよ。
この事はクラトスも前々から感づいていたはずだ。
なのに、何でそんな目で俺を見る…?
「大体、俺は死ぬのは恐くねぇよ。そもそも、いつだって命狙われて…死と隣り合わせで生きて来たんだ……」
「ゼロス」
「…何だよ」
「震えてる。」
言われるまで気付かなかった身体の震え。
やっぱり俺は…死ぬのが怖いのか…?
「だから、無理をするなと言っている。」
クラトスは、俺の頭を撫で、強く抱きしめた。
すると、俺の目からは透明の液体が流れ出た。
俺は…泣いているのか…?
「私の前でくらい、弱音を吐いたらどうだ?」
俺は目を閉じ、その一瞬の安らぎを感じた。
「大丈夫。もう、十分だ。」
俺を必要としてくれたクラトス。
…でもそれも今日限り。