□Please call my name
1ページ/5ページ


「ゼロス…」

そう俺を呼んだのはクラトス。

「無理をするな。」

「ハッ。今から死にに行く人間に言うセリフじゃねぇな」

「そう…だったな。すまん」


…何て顔してんだよ。
この事はクラトスも前々から感づいていたはずだ。
なのに、何でそんな目で俺を見る…?

「大体、俺は死ぬのは恐くねぇよ。そもそも、いつだって命狙われて…死と隣り合わせで生きて来たんだ……」

「ゼロス」

「…何だよ」

「震えてる。」


言われるまで気付かなかった身体の震え。

やっぱり俺は…死ぬのが怖いのか…?

「だから、無理をするなと言っている。」

クラトスは、俺の頭を撫で、強く抱きしめた。
すると、俺の目からは透明の液体が流れ出た。

俺は…泣いているのか…?

「私の前でくらい、弱音を吐いたらどうだ?」

俺は目を閉じ、その一瞬の安らぎを感じた。

「大丈夫。もう、十分だ。」

俺を必要としてくれたクラトス。
…でもそれも今日限り。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ