+ 桜 +
□罪悪感
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「土方さん、池田屋の事件調書持ってきやしたぜぃ。死ねコノヤロー」
バサリと置かれる調書に続いて、バサリと刀が振り落ろされる。
「おー、サンキュー。つか、お前が死ね」
余裕で総悟の刀を避けながら、調書を手に取る。
池田屋の事件、アイツも取調べを受けていたはずだ。
「なんですかぃ?事件の洗い直しでもする気ですかぃ?」
めんどくせぇと総悟がぼやく。
「いや…銀髪の住所が知りたくてな」
「ハァ〜、上司二人がストーカーなんて勘弁してくだせぃ」
大袈裟な溜息と蔑みの眼差しをうける。
「バカ言ってんじゃねー、見舞いに行くんだよ」
パラパラとページをめくるが、見当たらない。
「へ〜、そうですかぃ……14ページに載ってやすぜぃ」
ニヤリ。
小さな頃から見てきた黒い笑顔。
総悟がこんな笑い方をする時は、
碌な事がない。
なんで知ってんだと睨み見る。
「俺は旦那が気に入ったんでねぃ。腑甲斐ねぇ上司代わって先日、見舞ってきたんでさぁ」
元気そうでしたぜと楽し気に話す総悟に何故か苛々する。
「勝手なマネしてんじゃねぇよ」
教えられたページをすぐに開くのは、癪に障る。
調書を脇に置き、煙草を燻らせる。
そんな俺に興味を無くしたのか、足の小指ぶつけろなどと悪態をついて総悟は出ていった。
足音が遠ざかるのを確認し、再び調書を開く。
14ページ…。
坂田 銀時(万事屋)
歌舞伎町5−11―4
スナックお登勢2階在住とある。
ぎんとき…名は体を表すとはよく言ったもんだ。
天人だらけの時勢、それでも珍しい銀髪。
フワフワして綺麗だったな…。
キリリ。
また心臓が苦しくなる。
早いとこ、見舞いに行ってきた方が良さそうだ。
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