BASARA・噺
□叶わぬであろうこの気持ちに〜
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「藤五っ!」聞き慣れた声が相手の後方からした。
「政宗どっ「梵っ!」」
相手に遮られた。
「テェメェ〜、藤五〜っ!俺の兜と刀返しやがれっ」
政宗がドカドカと小山を駆け降り、目の前の武将から兜を奪い去った
「っ!」
「痛いよっ梵〜」
下から現れたのは顔は戦場で何度か見た事がある少年。
「なんで勝手やってんだ!an?」見るからに怒っている政宗に少年は拗ねたように唇を突き出し文句を言う
「大将が一番駆けする軍なんて聞いた事ないねっ。梵を護るのが俺の仕事…間違ったことはしてないっ」
言い放ち、プイッと顔を背けた。
その様子に呆れたような困ったような顔をする。
「あのな〜、気持ちは解るけどよ。俺が逃げたみたいに見えるだろうがっ」
「勝てば官軍って言うでしょ?卑怯な手を使う奴なんかごまんと居るよ。梵だってそうでしょ?なのに甲斐の時だけ何?こいつに惚れてるの?そんなのオレは許さないよっ」
目まぐるしい言い合い?にどうして良いか解らず。ただただ二人を見比べる。
「スマンな…」と横から声がした。独眼竜政宗の右目・智将片倉小十郎景綱が苦虫を噛み潰した様な顔でこちらを見ていた。
「いえ…、あの方は…?何度かお見掛けした事はあるかと思いますが…」と、尋ねると溜息混じりで
「伊達藤五郎成実…政宗様の従兄弟殿だ。」と話す
(…従兄弟…どうりで声が少し似てる気がする)
「そろそろ石見殿が来られるから治まるだろう…」と、竜の右目が深く溜息をついた時、先の小山で声がした。