BASARA・噺
□嫌いなのは…
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「ねぇ、なんで?」
自室で嫌々執務をしていたら、いきなり同盟を組んでいる他国の派手な忍が逆さまに現れて、意味不明に尋ねられた
【嫌いなのは、自分が間違っていないと誇りたいから】
「…主語が無ぇ」
と、一瞥後に呟けば。軽い口調で返される
「あら、ごめんなさいねぇ」
ヘラヘラ笑いながら「お邪魔しても良い?」と床に降りてきた
「聞く前から邪魔してんじゃん。なんだよ、早くしろよ」
「なんで、ウチの旦那の事嫌うの?気が合いそうな感じなのに。」
ほんとに不思議〜と独り言?を言う。
「ちなみに、俺様の事も嫌い?」
小首を傾げてわざと可愛い子ぶった表情をする
「…お前の戦う理由。お前が何故戦に出て敵を滅するかを述べよ」
笑って言ってやった。すると忍は真面目に答えた。チャラチャラした容貌と派手でヘラヘラと軽い雰囲気の彼は
「生きる為かな。」
と、至って真面目に答えたのだ。
「だって働かなきゃ給金貰えないし、殺らなきゃ殺られるし」
「俺は俺の我が儘で人を殺してるんだよ」
真っ直ぐにこちらを見て話す忍の声を黙って聞いていた少年は、ニッコリと満面の笑みを浮かべた
「お前の事は好きだな」
「?あら、お気に召した答えだった?」
なにが気に入ったの〜とケラケラ笑いながら軽い口調で聞いていた
「真田は…」
「旦那?」
「真田の戦う理由は何だと思う?」
何か話し出すのかと思いきや、質問に変わった
「そりゃ、お館様の天下統一、上洛を一緒にってのとか。お館様の治める天下泰平の世を見たいからじゃない?」
「戦に出て、人を殺すのに他人を言い訳にするな。」
静かに淡々と、しかし意志の強さが見える力強い声
「俺は戦に出る。誰に頼まれたわけでもねぇ。俺が戦が好きだからだ。それが、結果的に“梵を護る事”だったり“奥州の為”に繋がるだけだ。護りたいものを護って邪魔なものを排除する。それは俺の我が儘だ。」
「人殺しが好きなの?」
怖〜い とからかい混じりに言えば、彼は笑い出した
「ははっ、そうかもな。血がたぎるのを止められない」
“本心だ”佐助は直感で思った。彼は嘘はつかない。笑いながら言うが、目の奥底がマジだ