遙かなる唄箱

□遙かなる時空の中で2〜雪月花〜
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日蝕の鍵穴/アクラム(置鮎龍太郎)


緑瑪瑙(めのう)の足枷を 引き摺る蜃気楼
瞼には氷晶(ひょうしょう)の 砂漠が広がる

火蛾(ひが)が逃げ水に 身を投げ溺れる
美しき終焉と 不死酒(さけ)でも呷(あお)ろう

ああ お前を 氷杭(つらら)の檻で 愛でようか
否 お前を 赤珊瑚の椅子に座らせて 沈めたいのか

日蝕の鍵穴
胸に奈落の底
何処にゆけばよい
自堕落すぎて永眠(ねむ)れもしない


砂の花弁(はなびら)を 齧れば馨(かぐわ)しい
飄風(ひょうふう)を殺せぬと 蠍の懺悔よ

空耳(みみ)に静寂の 悲鳴が止(や)まない
生きながら閉ざされた 暗冥(くらやみ)の柩

ああ お前を 蜜蝋(みつろう)に 閉じ込めようか
唯 お前に 幾千の玉虫(にじ)の羽根ちぎり 埋め尽くそうか

日蝕の鍵穴
胸に奈落の底
何をすればいい
退屈すぎて語れもしない


日蝕の絶望 日蝕の恍惚
お前が私に重なり 孤独(やみ)に鍵穴(あな) 開けるのか

蟻の葬列よ 朽ちた青薔薇(あおそうび)よ
歪む砂塵の城 己を白昼夢(ゆめ)の中で嘲笑(わら)おう

 
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