展示

□それは甘い甘い味でした
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ほんのりと香る、それは






それは甘い甘い味でした



バニラエッセンス数滴、レモン汁少々、他砂糖で糖分の微調整

溶け合う液体の香りは体全体を包み、そして何処かふわりと浮かばせる材料と化
していた。
ホイップに角を立て、残るはオーブンに温められているスポンジに所余すことな
く塗りたぐり、その飾りとしての重要な役割を果たす果物達を踊らせるだけ…。



するりと腰に纏わりつく華奢な腕と肩に掛る一定の重さは、今だ甘えの時期から
抜け出せないホワイトスノウ宛らの髪の所持者。
今の今までおとなしかったのはこれからの甘い甘いショータイムの時間のために



「神田…甘くていい匂いがする……」



鼻で肩に掛る髪を退かし、まるで食すかのようにやわやわ吸い付きその部分だけ
を口内と同じ体温にしようとしている後輩こそ、この甘ったるい食べ物を欲した
張本人
いつしかその場所だけでは足りないらしいことに、ヤツの短いスカートが左右に
揺れ動き布との接触音がかすれて聞こえる。
釦は器用に後ろ手で外され、小さいながらも女の象徴の膨らみに触れ包む。
自身よりも抱擁力のあるその掌は何時しか俺よりも目線が高くなるという未来か
らのメッセージ。



「揉んだってッ…でか、く、、んっなれねーよ」

「うん。いい。大きくなられたら、僕が困ります」



これ以上魅力的になられたら、男達に狙われてしまいますからね。
人指し指と中指の間に挟まれた赤いベリーは延々主張し出し、その刺激は構わず
下へと直通する
湿り気を敏感な肌は感じ取り、その篭る下着には相手を喜ばせる蜜が滴りつつあ
ることに赤みが挿してしまった。


「……ぁ、あっ…」

「下、脱がすから…」


スルリと肌を滑る布の繊維に微かな声を発しつつも相手方の腕に自身の指を沿え
、その先の行為のためにもと向き合って視線を傾けた。
まあ予想通りの向上した息と頬、しっとりと纏わり付く髪に潤んだ大きな瞳はす
でに欲に濡れていたのだが。
相手のスカートの中へそっと侵入し端辺りを摘んで下降させ、白と桃色で鮮やか
さを施されていた布はすとんと床へ落ちる。


しかし乱れもしていないその胸元が不服を買い、リボンをほどいて肌を露にさせ
た。
自分よりも膨らみがあるその場所は、女の俺であっても目を反らす程
しかし今度は彼女の不服を買ってしまったらしく、噛みつく勢いでの口付けに翻
弄されていってしまう。
ふらふらとキッチン端の壁へと誘(いざな)われ、ひたりと互いに濡れそぼってい
た場所が対面する。
それでも情熱的なキスからは解放されず、一番の性感帯は小さな茂みにすらその
反応を見せた。


「はぁ、はあ、、ッんんん…」

「あぅ、…か、んだ…」



つ、と切れやすい糸はそう長く俺達の間に留まらせることは出来ず、しかし下へ
の互いの愛撫はまだ終わろうとはしない辺り、最後まで続けるつもりなのだろう
。(確かにここまでされてしまったら、おちおち菓子作りすら危ういだろうが。)



「神田、かんだッ、、指……、入れる…よ?」

「ぁっ…くふ、う…だ…メッ」



心細やかな抵抗も封じる口付けによって単語を失い、軽く舐めるかのように撫で
た指の侵入先は、本来ならば男性の欲を受け入れる小さな蕾。
愛液の所為で入ることは簡単なこととなってしまっていた

「ぷ、は!…ぁ、あ…ン…!」

「ひゃうッ!っ神田…!」



彼女は指で自分達の確実を突き、俺は快感に打ち震えるその体を引き寄せて密着
させた(目の前の彼女の両手は今せわしなく動いているから俺しか出来ないことだ
が)。
ともすれば嬉しそうに後輩は顔を綻ばせ小さく口付け、ぺろりと俺自身の唇を舐
めた。

しかしキスに集中していたためか、このあとの刺激で訪れた感覚に敵わず中の面
積がきゅうう、と締まる。
相手にとっては喜ばしい失態、無遠慮に追加された二本の指先



「あン!だ、ダメ…ェ、ひあぁ!」

「ン…、ん、ぁ…ダメじゃ、、ない…っで、しょ?」



収納範囲を優々と越して、しかしそれが中々的確な場所をかすった途端に甲高い
声が反響を促した。
ぶるぶる震える体でしっかりと相手にしがみ付き、覆う唇で呼吸すら奪うキスを

限界はすぐそこに



「あひ、あ、、レ…あぁあっっ……!!」

「僕もッ…つ―――…!!」



濡れた欲の音と絶頂を説き明かす美声は高く高く流れゆく。
疲労と解放、下には少しの不快感が残るも、ずるずるとだらしなく壁を伝って崩
れる姿勢は何とも心地良い。
荒げた息は其れなりのおおらかさを取り戻し、べたついてきた足元や下身に険悪
感を抱きつつあったころ、ふと何処か鼻に付く臭いがキッチンを占領しているこ
とに気付いた。

もわもわと、それはもう有り得てはいけない事実。



「ッ!!馬鹿モヤシっ、焦げてる焦げてるっつ!!!」

「え?……っええー!!!?」



雰囲気は最高だったのにも関わらず、その余韻は一気にぶち壊し。
原因は体感時間よりも長かった互いの熱ある行為の所為
表面はすっかり日焼けしたように黒く染まり、とてもじゃないがこれを食べたら
ガンに掛かる確率を促進させるだけだと、すでにおおよそ食べ物と呼んではいけ
ないものを前に浅く溜息を付いた。



「……シャワー」

「はい?」

「シャワー、先に浴びててくれ……」



これをどうにかするのは俺がやる、と言葉を掛ける相手はもはや自分のすぐ目の
前。
ちゅ、と音だけを残し、了解の笑みを浮かべて目的の場所へと足を運べていた。
体が固まってしまったのは言うまでもない事実だろうに。






「さて…どうするか」


腰に当てた手はもはや半ば諦めの姿勢。
しかし、どうにかせんといかん
顔を映した前のキッチンコンロ前、頬と首筋の赤がいやに気になった。


「あいつッ、何時の間に…!!」


彼女が残したその印は、まるで自分だけの特許と言わんばかりに体全体を征服し
ようとしている。
実際、ヤツの思うがままに鼓動が脈打って止まらないのは隠せない恋心が故のも




「…………甘い」


こんな気持ちにさせたコイツの印を、ただただ小さな掌で隠し、写り俯いた自分
を盗み見ると、やはり赤から抜け出せてはいなかったのたった。




前言撤回、これは彼女に食べてもらおう。
苦いものでも、彼女が食べるのなら甘いものに仕上げることが出来るから。

今自分がシャワー室に入って行ったなら彼女はどんな反応をするのだろうか
心どこかに期待を秘めて、搾り出した真っ白なホイップクリームを貴女に重ねて





した





(あの……これってさっきの焦がしたスポンジで…?)

(焦げたとこはちゃんと取ってあるぞ)

(…!!いただきます!!!)

(わっバカ、キスすんな…!!)


.

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