第5巻マ
□第134話 生きていたブライド!
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「う〜ん、風邪もすっかり治ったし、久しぶりに早起きするか。」
フローラにもらった超風邪薬のおかげかどうかは解らないが私の風邪は一日で治り私は食卓へ向かう。
「おはよう。」
「あら、馬鹿ハンター、風邪はもういいの?」
「ああ、お蔭さまで完全に治ったぞ。」
「それじゃあ、行きましょうか。」
私はニーナに引きずられてアーサーさんの店へ向かう。
一日しか経っていないのに随分久しぶりのように感じる。
「おはようございます、今日は雪山でティガレックスが目撃されています。どうしますか?」
「ティ、ティガレックス?」
私のトラウマはまだ解消されていないようだ。名前を聞いただけで震えあがってしまう。
「アーサーさん、他の情報は・・・・・って何をしているのだ?」
ニーナはすでに契約書にサインをしていた。
「何ってサインに決まっているじゃない。じゃ、情報料を払っておいてね。」
私はローテンションでステファニーさんに情報料を支払う。それとは対称的にハイテンションでステファニーさんが情報料を受け取る。
「それでは、お気を付けて〜。」
私はニーナの後を追って家に戻る。
「どうしたのよ?まだ風邪が治ってないんじゃない?」
「ティガレックスは苦手なのだ。」
「エバンスに得意、不得意なんてあるの?気のせいよ。」
ひ、ひどい。私は海よりも深く傷ついたぞ。
「何をブツブツ言っているのよ。行くわよ。」
嫌がる私をニーナ、メアリー、アシュリーの三人が引きずっていく。
家を出たところで私は諦めて自分の足で歩く。
「や、やっぱり帰らないか?ティガレックスだぞ。強いぞ。」
「今後、帰ると一言でも言ったらぶっ飛ばすわよ。」
「う・・・・、は、はい、わかりました。」
私の牛歩作戦の甲斐も虚しく雪山に到着してしまう。
「お師匠様、あそこに誰かいます。」
私達は一斉にメアリーの指差す方向を見る。
「ブライド〜〜!!!」
ニーナは猛然と走っていく。
「今、ブライドって言っていたな。知り合いか?」
「師匠、ホンキですか?ニーナさんを見捨てた元師匠ではないですか。」
アシュリーが私を可哀相な人を見る目で言う。
「も、もちろん知っていたぞ。ふ、二人の記憶力を確かめる為に言ったジョークだ。」
「はぁ、そうですか。」
「そ、それよりもニーナの後を追うぞ。」
私は精一杯ごまかしてニーナの後を追う。
追い付いた頃にはニーナはブライドの胸倉を掴んでいた。
「やめるのだ、ニーナ。とりあえず話を聞こうではないか。」
ニーナは私の説得に応じて手を離す。
「ブライドさん、なぜニーナを見捨てたのか訳を話してください。」
「まさか生きていたとはな・・・・。ニーナを見捨てた訳だと?もちろん自分が助かる為だよ。」
この男は何を恥じるわけでもなくあっさりと言い放った。
「解ったでしょ、この男はこういうやつなのよ。ぶん殴ってやるわ。」
ニーナがブライドに近寄ったその時、ティガレックスが舞い降りる。
「うわわわわわ、何でティガレックスが・・・・・・・」
ブライドは完全に腰が抜けている。
ティガレックスはブライド目掛けて突進する。
「危ない。」
私はブライドを助けて避ける。
「どうして、そんなやつを助けるのよ。」
ニーナが怒り心頭で私に詰め寄る。
「確かにムカつく男だが助けないわけにはいかないだろう。それにあいつをぶん殴るのはニーナの仕事であってティガレックスの仕事ではない。」
「・・・そうね。とりあえずティガレックスを始末しましょうか。」
ニーナは納得してどこか吹っ切れたような顔付きになる。
「エバンス、何をぼーっとしているのよ。シビレ罠を仕掛けなさい。」
私はニーナの命令でシビレ罠を仕掛ける。
そこへティガレックスが突進してくる。
「よし、掛かった。」
私達はよってたかってティガレックスをメッタ斬りにする。
「みんな、離れるのだ。」
シビレ罠の効果が切れてティガレックスは逆上している。
「お、怒ってます?」
ティガレックスは私目掛けて猛然と突進してくる。
「にぎゃ〜〜〜!!ごめんなさ〜〜〜い!!!」
「エバンス、こっちよ。」
「お師匠様、こっちにシビレ罠を仕掛けました。」
私はニーナとメアリーのいる所へ猛然と避難する。
ティガレックスは再びシビレ罠に掛かる。
「よし、いくぞ。」
私達は再びメッタ斬りにする。
「よし、離れろ。」
しかしニーナが逃げ遅れる。
「きゃ〜〜〜〜!!!」
私はニーナを助けようと走る。それよりも早くブライドがニーナを助ける。
「これで、さっき助けてもらった借りは返したぞ、兄ちゃん。」
「はい。」
私は三度シビレ罠をセットしてティガレックスを罠にはめる。
「これで最後だ。いくぞ、必殺!1日1回限定適当大剣振り回し」
「いきます、必殺!1日1回限定、超双剣乱舞。」
私達の必殺技とニーナの容赦ない顔面斬りでティガレックスは息絶える。
「さてと。」
ニーナはブライドに詰め寄る。
「本当ならあんたをぶん殴りたいところだけど助けてもらった恩もあるから今回は勘弁してあげるわ。でも今度見つけたら容赦なくぶん殴るから。」
ニーナはそう言ってさっさと帰っていく。
私達はニーナの後を追う。
「よく、ぶん殴らなかったな。」
「今、あいつをぶん殴ったら悪者になるのは私じゃない。だから今回は貸しよ。」
私はニーナの背中をポンポンと叩こうとした。
ところがニーナが突然振り返る。
「あ・・・・・・・」
そう、私の手はニーナの背中ではなく胸をポンポンと叩いてしまったのだ。
「この・・・・・・・・ドスケベ!!!」
「ぎゃぴ〜〜〜〜!!」
・・・・つづく。