第5巻マ

□第131話 帝、ご乱心!?
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眠っている私に微かに聞こえる声。無視したいがどうしても聞こえてくる。

「今日はどうやってお師匠様を起こしますか?」

「いつも通りでいいんじゃない?」

「最近、マンネリ化していますね・・・・・」

「作者にネタがないのよ。こればっかりはどうしようもないわよ。」

セフィリアとメアリーの話し声のようだ。
しかし意味が解らない。どういうことだ?作者のネタ切れ?何だ?作者って?
私は気になって起き上がる。

「お師匠様、おはようございます。」

「おはよう、メアリー。ところで作者って何だ?」

「深い意味はないわ。さっさと食卓に来なさい。」

セフィリアは簡単に言い放つとメアリーと一緒に部屋を出る。

「仕方ない、私も食卓へ行くか。」

私はアクビをしながら食卓へ向かう。

「おはよう、エバンス。ほら、情報を仕入れに行くわよ。」

私は休む間もなくニーナに引きずられながらアーサーさんの店へ向かう。

「エバンスさん、スティーブが傷ついたモンスターを見たと言っていますけど心辺りはありますか?」

テオ・テスカトルのことかな?私は【古龍事典】のテオ・テスカトルのページをスティーブさんに見せる。

「・・・・・こいつだ。間違いない。」

「沼地で見かけたそうです。行きますか?」

「もちろん、行くわよ。エバンス、早く契約しなさい。」

私はステファニーさんに情報料を支払い契約書にサインをして家に戻る。

「エバンスさん、とっくに朝食の準備は出来ていますよ。早く食べてください。」

なぜ、ここの女性陣は私に偉そうに言うのだろう?マリーは年上だから仕方がないとして・・・・ここはガツンと年上の威厳を示すべきだろう。

「セフィリア、ニーナ。話がある。」

「何よ?忙しいんだから早くしてよ。」

「い、いえ。いつもご苦労様です。無理をせずに頑張って下さいと言いたかっただけだ。」

「そう、ありがとう。」

い、言えるわけがない。私はこの歳で死にたくない。

「私にも話があるんでしょ?」

ニーナが私を見る。ニーナなら大丈夫だろう。

「ニーナ。よく聞くのだ。」

「何よ?さっきからちゃんと聞いてるわよ。早く言いなさい。」

「・・・・い、いつもメアリーとアシュリーのフォローをありがとう。二人の師匠として礼を言いたかったのだ。」

「別にいいわよ。私にとっても弟子みたいなものよ。」

ま、ニーナは同じ歳だしいいか。
別にニーナの迫力にビビったわけではないぞ。

「ほら、行くわよ。」

私は朝食の残りを口の中に押し込み沼地へと向かう。

「どっひゃ〜〜〜!」

沼地に到着するなり炎帝の突撃が炸裂する。
私とニーナはメアリーとアシュリーを抱えダイビングして避ける。

しかし炎帝の攻撃は続く。炎塵をあげ火柱をあげる。

「にぎゃ〜〜〜!!」

私とニーナは二人を抱えたままダッシュで逃げる。

「もしかして、炎帝様ご乱心?」

「そのようね。これは狩り甲斐があるわね。」

ニーナはなぜかワクワクしている。

「ニーナさん、行きましょう。」

メアリーも嬉しそうにニーナと共に先陣を切る。

「アシュリー、炎塵の色の区別がつくか?」

「アリスさんが言っていた色の区別ですか?それでしたら大丈夫です。」

「それなら指示を頼む。今回は攻撃のことは考えなくて良いぞ。」

「解りました。お任せください。」

アシュリーの力強い返事を聞いて私はニーナとメアリーの加勢に入る。

「エバンスは尻尾を攻撃して。足元は私とメアリーで攻撃するわ。」

「わかった。」

私が尻尾を攻撃しようと尻尾へ向かった矢先、炎帝の尻尾攻撃が炸裂する。

「うっひゃ〜〜〜!!」

私は決死のダイビングでかわす。
そこに炎塵が舞い上がる。

「みなさん、逃げてください。」

アシュリーからの指示が飛ぶ。
私はニーナとメアリーに担がれて難を逃れる。

「あ、ありがとう。助かった。」

私達は態勢を立て直し再び攻撃に入る。
しかし再び炎塵が舞い上がる。

「大丈夫です。攻撃を続けてください。」

私達はアシュリーの指示を信用して攻撃を続ける。

「いくぞ、必殺!1日1回限定適当大剣振り回し」

「いきます、必殺!1日1回限定、超双剣乱舞。」

私とメアリーの必殺技とニーナの容赦ない顔面メッタ斬りにより、ついに炎帝は力尽きる。

「か、勝った。疲れた〜。」

私達はその場に座り込む。そこへアシュリーが駆け寄ってくる。

「みなさん、お疲れ様でした。きゃっ!!」

アシュリーがテオ・テスカトルの尻尾につまずく。

「危ない。」

私は飛び込んでアシュリーを助けに行くがアシュリーは倒れる寸前で踏ん張り平気だった。

「良かった。ケガはないようだな。」

私はアシュリーばかりに気を取られて気付かなかった。

「ねえ、エバンス。手をどけてくれないかしら?」

私の手はニーナの胸の上にあった。

「こ、これはアシュリーを助けるための事故だ。わかるだろう?」

「そうね。それじゃあ、これも事故ってことで。」

「あぎゃ〜〜〜〜!!」

私はニーナのフルスイングパンチの餌食となる。

「あ、明らかに故意ではないか・・・・・・」


・・・・つづく。

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