第5巻マ

□第130話 子供の日
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「うう、頭が痛い・・・完全に二日酔いだ。」

昨日の酒が全く抜けていない私はもう一度眠りに入る。

「お師匠様、朝ですよ。起きて下さい。」

「うう、大きい声を出さないでくれ。」

子供の高い声は二日酔いの頭に響く。

「起きないともっと大きな声を出しますよ。」

私は仕方なく起きる。

「どうしたのですか?お姉様とニーナさんも同じ事を言っていましたけど・・・・・」

「お酒を飲み過ぎるとこうなるのだ。」

「でも、お母さんは平気な顔で帰っていきましたよ。」

あの人は色々な意味でバケモノだな。明らかに私達より早いピッチで飲んでいたはずだが・・・・

とにかく私は食卓へと向かう。

「おはよう・・・・うう、気持ち悪い・・・・」

「ご主人様、薬だニャ」

私はマシューから薬を受け取り飲む。

「エバンス、今日は狩りは中止にしない?」

ニーナが消極的になる。無論、私も全く同意見だ。

コンコンコン!!!
「エバンスさん、アーサーです。」

・・・・イヤな予感が。

「居留守を使いましょう。」

ニーナもイヤな予感がしたようだ。

「アーサーさん、いらっしゃい。どうしたのですか?」

私もニーナの意見に賛成だったがメアリーがアーサーさんを招き入れる。

「エバンスさん、お願いです。ステフを助けて下さい。」

どうやら、大変なことになっているようだ。

「ステフが砂漠に行ったまま帰ってこないのです。お願いします、助けて下さい。」

「わ、わかりましたから大声をださな・・・・」

「大声を出さないで。」

私が全てを言う前にセフィリアのダイナマイトパンチがアーサーさんの顔面をとらえる。

「と、とにかく砂漠へ急ごう。うう、気持ち悪い。」

私とニーナはフラフラになりながら準備をする。

「ねえ、アシュリー。今日のお師匠様とニーナさんは全く役に立たないと思うから私達で何とかしましょう。」

「そうね。あの状態では無理そうね。頑張ろう。」

「済まないが頼む。」

私とニーナは子供達に支えられるように砂漠へ向かう。

「お師匠様、ニーナさん。クーラードリンクを飲んでください。」

私とニーナは無理矢理クーラードリンクを飲まされる。

「うう、余計気持ち悪くなった・・・・・」

私はニーナの様子を見てみる。

「き、気持ち悪い・・」

ニーナも今日は何の役にも立ちそうにないな。

「お師匠様、ステファニーさんがいました。」

ステファニーさんは洞窟の入口の近くから動けずにいた。
ドスガレオスが砂漠にいて渡れないことが原因のようだ。

「お師匠様達はここにいて下さい。行くわよ、アシュリー。」

メアリーとアシュリーがドスガレオス目掛けて突進する。

アシュリーが音爆弾を投げる。
ドスガレオスが地上に現れたと同時にメアリーが双剣乱舞を叩き込む。

「アシュリー、一気に行くわよ。」

「わかった。」

二人の息はピッタリだ。こうなると私達は単なる邪魔者だ。

「ねえ、エバンス。私達、ここに何をしに来たの?」

「二人を見守りに来たようなものだな。」

「そうね・・・・・。私、ちょっと手伝ってくるわ。」

ニーナはフラフラしながらメアリーとアシュリーの救援に向かう。

「ニーナさん、危ない。」

ドスガレオスがニーナ目掛けてブレスをはく。アシュリーがニーナを体当たりで吹き飛ばしニーナは難を逃れる。

「完全に足手まといだな。」

私の言葉がニーナに聞こえたようだ。ニーナは立ち上がり猛然とドスガレオスに斬り掛かる。
しかし、一撃を加えたところでうずくまる。

「き、気持ち悪い・・」

ニーナはメアリーに助けられて私の近くに運ばれる。

「ニーナさんを縛ってでも動かさないでください。」

メアリーはそう言って再びドスガレオスに向かっていく。ハッキリとは言わないが邪魔と言っているようなものだ。

「アシュリー、ドスガレオスはどこに行ったの?」

「今、潜ってるところよ。」

アシュリーは音爆弾を投げる。ドスガレオスが地上に現れる。

「いきます、必殺!1日1回限定、超双剣乱舞。」

メアリーの超双剣乱舞でドスガレオスは息絶える。

「ステファニーさん、もう大丈夫ですよ。」

メアリーがステファニーを助ける。

「ありがとう、助かったわ。ところであそこに転がっている二つの物体は何なの?」

「二日酔いの役立たずです。」

メアリーの毒舌が胸に突き刺さる。
ニーナも反論する元気がない。どのみち反論の余地など微塵もないが・・

「さあ、帰りましょう。」

メアリーが完全に場を仕切っている。

「お師匠様達も早く立ってください。放って行きますよ。」

今の私達は放っていかれると間違いなく死んでしまう。私とニーナは必死に立ち上がる。
行きと同じように私達はメアリー達に支えられるように家路につく。

「まだ治らないの?」

セフィリアは朝と違って復活している。

「セフィリアさんも私の作った薬を飲むまでは死んでいたじゃないですか。」

そう言ってマリーは私達に薬を差し出す。
私は薬を一気に流し込む。

「に、苦い・・・・・・ぐわぁ、苦〜〜〜い!」

私はあまりの苦さにセフィリアにしがみつく。
しがみついた先はセフィリアの・・・・お尻だ。

「この・・・・・・・・ドスケベ!!!!」

「あぎゃ〜〜〜!!!」

セフィリアのダイナマイトパンチの影響か薬の影響かは解らないが私の二日酔いはすぐに治った。


・・・・つづく。

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